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千葉県知事〝熊谷流〟就任1年 担当記者が検証

森田健作前知事(左)からの引き継ぎを受けた熊谷俊人知事=令和3年4月、千葉県庁(小野晋史撮影)
森田健作前知事(左)からの引き継ぎを受けた熊谷俊人知事=令和3年4月、千葉県庁(小野晋史撮影)

千葉市長から千葉県知事選に立候補し、同県の知事選で史上最多となる140万票余りを獲得して当選した熊谷俊人知事(44)は5日、就任から1年を迎えた。新型コロナウイルス対策では首都圏「1都3県」の知事とともに注目されるなどメディアへの露出も多かった。知事をウオッチしている千葉県政担当記者が〝熊谷流県政〟の1年を検証、知事への就任1年のインタビューとともに紹介する。 (小野晋史)

森田前知事後のレール敷けるか

「千葉県にとって非常に良いご発言を頂けた」

2月18日、東京・霞が関の国土交通省。年度末で期限を迎える東京湾アクアラインの料金割引の継続をめぐり、斉藤鉄夫国交相と面会を終えた熊谷俊人知事は記者団の質問に、安堵(あんど)した表情でそう答えた。

この日はくしくも44歳の誕生日。面会ではETC普通車の通行料800円などの3年間継続が事実上決まり、満足のいく〝誕生日プレゼント〟となった。

就任直後に東京湾アクアラインの料金について赤羽一嘉国土交通相(中央、当時)に面会した熊谷俊人知事(右)。左は仲介した富田茂之衆院議員(当時)=令和3年4月、国土交通省(小野晋史撮影)
就任直後に東京湾アクアラインの料金について赤羽一嘉国土交通相(中央、当時)に面会した熊谷俊人知事(右)。左は仲介した富田茂之衆院議員(当時)=令和3年4月、国土交通省(小野晋史撮影)

アクアラインの料金割引は、森田健作前知事の目玉政策。昨年4月5日の引き継ぎで対面した際、森田氏から「何とか維持してくれよ、800円を」とクギを刺された熊谷知事は、同13日にはさっそく赤羽一嘉国交相(当時)を訪ねた。

面会を仲介したのは、同年3月の知事選で支援を受けた公明党の富田茂之衆院議員(当時)。自民党が擁立した対抗馬が強みとしてアピールした「国とのパイプ」が、自らにもあることを示した形となった。

アクアラインに限らず、社会経済活動の基盤となる道路ネットワークの整備は国との連携がモノを言う。東京都心と結ぶ新たな湾岸道路や成田空港に向かう北千葉道路の整備、銚子方面へのアクセスが向上する銚子連絡道路の延伸などは、この1年間で一定の進展が見られたのは事実だ。

もっとも、熊谷知事自身は「国とのパイプを言い出したら本当におしまいだ」とうんざりした表情を見せた。就任1年の産経新聞のインタビューでのことだ。千葉市長を3期務めた経験もふまえ「国とパイプなんかあっても、中身が大したことなければ全く意味はない。どこの政党出身だろうと、それが国政にとって良い内容なら扱ってもらえる」と強調した。

とはいえ、多額の予算が動く道路整備に関しては、「まだ森田県政の延長線上にある感が否めない」(自民県議)。成田空港の機能強化や、世界的潮流の「脱炭素」で注目される銚子沖の洋上風力発電に関わる主要施策も同様だ。銚子連絡道路の延伸に関して1月に斉藤国交相と面会した際には、地元選出で国政に強い影響力を持つ自民党の林幹雄衆院議員が同席した。

この1年間、熊谷知事は新型コロナウイルス対策を推進し、認証店制度のように国の議論を先取りする場面も見られた。「対話主義と現場主義」を掲げ、県内視察にも積極的に取り組んだ。県によると、全54市町村のうち33市町村を公務で視察し、首長との意見交換を重ねてきた。

「安全運転で無難に進めている」。自民中堅県議の1人は、熊谷知事の1年をこう総括した。その上で「森田県政が敷いたレールが途切れた先こそ、真価が問われる」と、2年目以降に目を向けた。

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