「石で殴られているよう」敗者が語るゴロフキンの強さ

2013年3月、WBAミドル級タイトルマッチでゴロフキン(右)に挑む石田=モンテカルロ(ロイター=共同)
2013年3月、WBAミドル級タイトルマッチでゴロフキン(右)に挑む石田=モンテカルロ(ロイター=共同)

世界ボクシング協会(WBA)ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)と、国際ボクシング連盟(IBF)同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が雌雄を決する王座統一戦。かつてゴロフキンと拳を交え、その強さを肌身で知る元WBAスーパーウエルター級暫定王者の石田順裕(のぶひろ)さん(46)は「ミドル級の伝説のチャンピオンが日本に来るというのは夢のような話。すごい試合になる」と期待を込める。

石田さんは2013年3月、モナコでゴロフキンと戦った。当時30歳のWBAミドル級王者は25戦全勝(22KO)を誇り、6連続KO防衛中と勢いに乗っていた。「スペースを与えたら勝てない。腕を絡めたり体を引っ付けたりと泥仕合をしていこう」。それが、戦前のプランだった。

立ち上がりの感触は悪くなかった。「僕のパンチが当たるシーンもあった。これなら、いい勝負になる」。そう感じたのもつかの間だった。距離を詰めればノーモーションで飛んでくる左ジャブの餌食になり、クリンチにいけば桁違いのパワーで押し戻された。「手も足も出ない。万策尽きてしまった」

3回、左アッパーで上体を起こされたところに強烈な右フックを被弾。上半身がロープ外に吹き飛ばされるほどの壮絶なKO負けだった。

石田さんは当時、米国を主戦場とし、後にゴロフキンを破る現スーパーミドル級4階級王者、サウル・アルバレス(メキシコ)のスパーリングパートナーを務めたこともある。「普通の日本人とは違う環境にいて、やれる自信はあったけど、今までに経験したことのない強さだった。ジャブは一発一発が石で殴られているようだった」

ゴロフキンはその後、WBAでの防衛回数を19回に伸ばし、IBF、世界ボクシング評議会(WBC)を含む主要3団体の統一王者に。試合前日の8日で40歳になるとはいえ、世界で最も層が厚いとされるミドル級で今も頂点に君臨する実力は抜きんでている。

村田に勝機はあるのか。石田さんは「プレスをかけて、ゴロフキンを下がらせる展開に持ち込めれば。日本人が偉大なチャンピオンに勝つ姿を見たい。チャンスはある」とエールを送った。(細井伸彦)

いしだ・のぶひろ 1975年8月18日、熊本県生まれ。大阪・興国高で全国高校選抜ライト級で優勝。近大を経て、2000年にプロデビュー。09年8月、WBAスーパーウエルター級暫定王座を奪取。後にヘビー級に転向し、15年に現役引退。現在は寝屋川石田ボクシングクラブ(大阪府寝屋川市)の会長を務める。

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