熱海盛り土指導「県、積極対応せず」 元市幹部が百条委で証言

元市職員ら4人を参考人として招致した熱海市議会の百条委員会=7日、同市役所(田中万紀撮影)
元市職員ら4人を参考人として招致した熱海市議会の百条委員会=7日、同市役所(田中万紀撮影)

昨年7月の静岡県熱海市での大規模土石流をめぐり、被害を拡大させたとされる盛り土の造成経緯を調べている同市議会は7日、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を開いた。参考人として招致された元熱海市幹部は、事業者への指導をめぐり「(静岡県は)そもそも市の案件との考えで、積極的に対応してもらえなかった」と述べ、県側の当時の対応に疑問を呈した。

元市幹部の証言によると、平成21年以降、盛り土の土地の旧所有者による造成面積が、静岡県土採取等規制条例で知事許可を必要とする1ヘクタールを超えている恐れがあるとして、規制の強い森林法の適用も視野に合同調査を提案したが、県は応じなかったという。旧所有者はそれ以前にも造成面積を広げて県に指導された経緯があり、元市幹部は「2度目の違反判明を避けたい意向が(県に)あったのでは」と推測した。1ヘクタール未満は市を届け出先とする運用となっていた。

また、旧所有者からの造成計画変更届について、必要な計画図が添付されていないのに市が受理していたことに関しては、元市幹部は「計画図の提出をしつこく求めた」と説明。「実質的に堆積土砂の撤去など安全対策を講じることで合意できたので、計画図はあとで提出してもらうことにした」と釈明した。現地での許容量を超える盛り土量が記載されていたのに受理した経緯については「不適切な判断だった」と述べた。

他方で、旧所有者が平成19年に盛り土造成を届け出た当時の市の担当課長は、空欄が残っていた書類を受理した理由について「勝手な工事をする事業者であるとの認識を強く持っていた。隠れて開発されるよりは、届け出を受理して積極的に指導していく方がいいという認識だった」と述べた。県例で必要な届け出の提出前から造成を始めていたという。

この日、参考人として証言した元課長は、書類不備を理由に受理しなかった場合に「行政に隠れて、無届けのまま開発を行うことを強く懸念した。手続きよりも、抑止効果を期待していた面があったことは否めない」などと、当時の行政側の認識を証言した。

問題の土地は山中にあるうえに広大なため、「事業者が行政に隠れて開発することは容易だ」とみていたという。加えて、同社はそれまでにも必要な手続きをスムーズに行わず、市の指導に従わないことが続いていた〝問題業者〟だったといい、元課長は、同社への強い不信感があったことを吐露した。

ただ、実際には違法な盛り土はそのままとなった。

委員からは「強く指導できたのでは」との疑問も示されたが、元課長は、県条例による無届け開発への罰則が最高でも「罰金10万円」となっていた点に触れて「残念ながら、実質的に事業者を指導することは難しいと考えていた」と述べた。「空白のある届け出を受理すべきではなかったとの考え方はある」とも語った。

百条委は8日には、斉藤栄市長らを参考人に呼ぶ。

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