7日に決着した囲碁の「大和ハウス杯 第60期十段戦五番勝負」。許家元(きょかげん)十段(24)が冷静な打ちぶりで、余正麒(よせいき)八段(26)を振り切り、公式戦15連勝で初防衛を決めた。
台湾出身者同士が、七大タイトル戦で対決するのは4度目。長野県大町市で28回目の開催となった十段戦第3局は、黒39から47まで下辺の攻防で許十段がポイントをあげた。さらに黒83から93まで着実に進めたが、余八段が上辺白94、96と必死に攻め、右辺白108から122まで反撃して形勢を互角まで押し戻す。
許十段が右辺黒135とツケたあと、余八段は左辺白136と戦線を拡大。ただ、135の右に受けていたほうが余八段には打ちやすい進行だった。それでも白136から150まで迫力ある勝負手を連発した余八段は、上辺の黒を取った。猛烈に追い上げたが、左上黒173に対し白174と受けたのが敗着に。このあと許十段が冷静にまとめ、逃げ切った。
許十段は「後半に時間を残すよう、心掛けて打ったのがよかった」と振り返った。タイトル奪取を逃した余八段は「精いっぱい打った結果なので(負けは)仕方ない。また大きな舞台に戻ってこられるよう努力したい」と語った。