ラジオの可能性、アナの冠番組で挑む ラジオ大阪

4月の改編で、社員から募ったアイデアから生まれた冠番組がスタートしたラジオ大阪アナウンサーの和田麻実子(右)と藤川貴央=大阪市港区のラジオ大阪
4月の改編で、社員から募ったアイデアから生まれた冠番組がスタートしたラジオ大阪アナウンサーの和田麻実子(右)と藤川貴央=大阪市港区のラジオ大阪

放送各局が番組を入れ替える春。大規模な改編を行ったラジオ大阪(OBC)は同局アナウンサーの和田麻実子、藤川貴央(たかお)の名を冠した新番組をスタートさせた。昨年からIT企業が経営に参画したOBC。さまざまな新たな取り組みを進める中で船出した2番組には、ラジオの魅力や可能性を信じ、新たなリスナー層を開拓していこうとする挑戦の意志が込められている。

全社一丸の番組作り

OBCで春から始まった月~金曜朝の報道ワイド番組「藤川貴央のニュースでござる」(午前6時半~)と毎週火曜の情報番組「OBCグッドアフタヌーン!和田麻実子のみみよりだんご」(午前11時~)。2人の名が付いた2つの冠番組は半年前、社員全員から新番組のアイデアを募り、議論を交わして生まれた。

こうした番組作りはOBCでは前例がなかったという。藤川は「『ぜひ、藤川にワイド番組をやらせてやろうよ』という意見をたくさんいただいて、それがうれしかった」と振り返る。

藤川は平成26年から2年半、朝のワイド番組「モーニングライダー! 藤川貴央です」を担当。当時「もうちょっと分かりやすくしゃべらなあかんな、と反省を繰り返した」だけに、再び朝のワイド番組を担当したいとの思いを募らせていた。

背景には自身の成長がある。「若い頃は正論を言って殴るようなタイプでしたが、年齢を重ねてニュースを見る目が優しくなった」と苦笑い。キーワードに掲げるのは「希望」だ。

「多角的に考え方を紹介する中で、リスナーもそういう考え方もあるならば、こう考えてみようか、進んでみようかと考えてくれれば、それが希望になると思うんです」

同じ時間帯は他局も強豪ぞろいで、藤川自身「聴く番組がもう決まっちゃっているリスナーも多い」と口にするが、全社員の思いで生まれた番組。「定着までに時間はかかると思う。1年半から2年くらいかけて、他の番組との差を縮めたい」と腰を据える。

新しい風を吹き込み

和田は自身の名前を冠した番組案が出たと聞き、戸惑いを覚えた。「人の話を聞くのが好きで、それでアナウンサー生活が終われてもいいかなと、本当に思っていた」という。

藤川同様、託された思いを感じ、腹を決めた。パートナーを務める若手漫才コンビ「カベポスター」の起用には、和田の「ラジオに新しい風を入れたい」という思いが投影されている。

和田は「カベポスターとは生きてきた時代も違う。トークの内容も変わってくると思う」と語る。カベポスターの後ろには若いファンがいる。カベポスターとの世代間のギャップは、若いリスナーとのそれに通じると感じている。

ラジオの魅力を若い世代にも伝えたい和田。「カベポスターという、これからさらに上に登っていく2人の力も借りながらっていうのはあります」と語る。

IT企業が経営参画

OBCは昨年、IT企業「DONUTS(ドーナツ)」が経営に参画した。同社が手がける動画共有プラットフォーム「ミクチャ」と連動した番組の展開など、新たな取り組みを進める中で、2人も若い世代とのつながりを意識する機会が増えた。

今までのリスナーを大切にしつつ、新たなリスナーを開拓する。2番組はそんなOBCの挑戦の表れでもある。藤川は「若い方でもラジオは安心して聞いてもらえると思う」と語り、和田はその不変の魅力を「誰かがそばにいるという感覚にひたれること」と語り、こう続ける。「今、コロナ禍とか人間関係とか、しんどいことが多い。ラジオは可能性があるんだなと、ちょっと感じています」

そう話す和田に、藤川は「リスナーがすごくホッとできる、温かい番組になると確信してます」とエールを送り、「いいものは絶対に評価される。毎日続けていけば誰かが聞いてくれて、誰かが見つけてくれる」と、良質な番組作りを誓った。(渡部圭介)

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