鑑賞眼

久本雅美、藤原紀香の初タッグ 関西弁ブラック・コメディ「毒薬と老嬢」

「毒薬と老嬢」で老姉妹を演じる久本雅美(左)と藤原紀香(松竹提供)
「毒薬と老嬢」で老姉妹を演じる久本雅美(左)と藤原紀香(松竹提供)

久本雅美、藤原紀香のダブル主演でブラック・コメディーの傑作「毒薬と老嬢」(ジョセフ・ケッセルリング作)が3月、東京・新橋演舞場で上演。4月には大阪松竹座で上演が予定されている。本作は1941年、米ブロードウェーで初演され、3年半に及ぶロングラン(1441回上演)を記録した作品だ。

「毒薬と老嬢」は、第二次大戦が始まったころの米ニューヨーク・ブルックリンの閑静な住宅街が舞台。ここに住む裕福な慈善家の老姉妹は「部屋を貸します」という貼紙を屋敷の前に出し、訪ねてくる身寄りのない老人たちに手作りの〝おいしいぼけ酒〟を振る舞っていた。しかし2人には秘密が…。

久本と藤原が舞台で共演するのは本作が初めてというが、息の合った掛け合いで舞台を盛り上げていた。元々、気が合う2人。開幕前の記者会見で、久本は藤原について「気さくで裏表のない男前。細やかなことまで気が利いて、人として大好き」と話していた。

一方、藤原は、久本を親しげに〝姉さん〟と呼び、「大御所コメディー・クイーンの姉さんと共演できるなんて、とてもうれしい。姉さんは愛のある笑いを持っている」と絶賛していた。

しかも主演の2人が関西出身ということで、大胆にもせりふを関西弁にアレンジ。関西弁の独特のニュアンスがブラック・コメディーの翻訳劇にはおあつらえ向きであることを、本作を通して気づかされた。

演出は錦織一清。錦織といえば四、五十代の世代には「少年隊」のリーダーのイメージが強いが、今や演出家として多くの作品に携わっている。錦織の作品を見るのは今回初めてだが、「毒薬と老嬢」の舞台は、一目置くのに値する出来栄えではないだろうか。

久本がしっかり者で世話好きの姉アビーを、藤原が警戒心がなく鷹揚(おうよう)な妹のマーサを演じていたが、関西弁のせりふの応酬がとにかく楽しい。

出だしは笑いを取ろうとしてか、あるいは緊張のせいか少々空回りしていた感があったが、中盤から本来の久本らしさ、藤原らしさが前面に出て、会場からも自然に笑いが起きていた。

作品の背景には高齢者問題などもあるのだろうが、舞台はブラックユーモア満載で登場人物たちもみな個性的。とにかく大人が思いっきり楽しめる舞台だ。

東京公演は3月16日~20日、東京都中央区の新橋演舞場。

大阪公演は4月16日~24日、大阪市中央区の大阪松竹座。チケットホン松竹、0570・000・489。(水沼啓子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。

会員限定記事会員サービス詳細