平成14年の84歳女性殺害、再審認めず 東京高裁

再審開始を認めない決定を受けて掲げられた「不当決定」の垂れ幕=7日午前、東京高裁前
再審開始を認めない決定を受けて掲げられた「不当決定」の垂れ幕=7日午前、東京高裁前

平成14年に東京都文京区のアパートで無職、井守きみさん=当時(84)=を殺害したなどとして強盗殺人などの罪に問われ、無期懲役が確定した伊原康介受刑者(42)の再審請求即時抗告審で、東京高裁(大善文男裁判長)は7日、再審開始を認めない決定をした。弁護側は特別抗告する方針。

弁護側は、井守さんの口に押し込まれたタオルから伊原受刑者以外のDNAが検出され「真犯人の可能性の高い人物のDNA型が検出された」などと主張。これに対し大善裁判長は決定理由で「犯人とも異なる第三者の細胞組織が長期間残っていたことが十分あり得る」と指摘し「真犯人のものであるともいえない」と退けた。

確定判決によると、伊原受刑者は14年7月31日夜、文京区小石川の井守さん方に侵入。口にタオルを押し込んで窒息させて殺害し、現金約2千円の入った財布を奪うなどした。

伊原受刑者は捜査段階で自白したが、公判では一貫して無罪を主張。16年に東京地裁判決が無期懲役とし、17年に最高裁で確定。伊原受刑者は千葉刑務所に服役中で、日弁連が再審請求を支援している。

決定を受けて伊原受刑者は弁護人を通じ「今回の決定では(高裁が)抽象的可能性を取り立てて、(請求が)退けられ、残念だ。ただし決してあきらめず、特別抗告して再審開始を求めていく」とコメントした。

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