「安保理が保証する安全はどこに」 ウクライナ大統領、国連改革迫る

国連安保理の会合でオンライン演説するウクライナのゼレンスキー大統領=5日、米ニューヨークの国連本部(AP)
国連安保理の会合でオンライン演説するウクライナのゼレンスキー大統領=5日、米ニューヨークの国連本部(AP)

【ニューヨーク=平田雄介】ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、国連安全保障理事会でのオンライン演説で、ロシア軍の侵攻開始以降、「露軍が占領した何十もの街で民間人虐殺が起きた」と述べ、戦争犯罪の実行者と指示した者を「裁きにかけなければいけない」と訴えた。ロシアの拒否権行使で十分に機能しない安保理に対しても即時の改革を強く要求した。

ゼレンスキー氏は国内各地の殺戮(さつりく)の様子を記録した動画を上映し、首都キーウ(キエフ)北方チェルニヒウや東部ハリコフ、南部へルソンなどを挙げ、「(キーウ近郊の)ブチャは大量殺人が行われた事例の一つに過ぎない」と訴えた。

露軍について「民間人を拷問にかけたり、井戸に投げ込んだり、子供の前で強姦(ごうかん)したりして殺してきた」とし、ロシアが「第二次大戦以来、最も恐ろしい戦争犯罪」に関与したと強く非難した。

ゼレンスキー氏は安保理にも厳しい言葉を向けた。ロシアについて「拒否権を(人々に)死をもたらす権利に変えている」とし、安保理がロシアの蛮行を止められない現状に「安保理が保証すべき安全はどこにあるのか?」と強調。ロシアを安保理から「排除」するか、「(安保理を)改革・変革・解体し、平和のために取り組む方法を示してほしい」と迫った。

会合では米英やフランスなどの代表がロシアの無差別攻撃を非難し、インドや中国も調査の必要性を認めた。ただ、中国の張軍大使は「いかなる非難も事実に基づくべきだ」とロシアへの配慮をにじませた。ロシアのネベンジャ大使はゼレンスキー氏の主張を「ウソだ」と反論した。

一方、ウクライナ当局は6日もキーウ近郊で被害状況を調査。米メディアによると、被害がブチャ以上とみられるボロディアンカでは地元の首長代行が「200人以上が死亡したと考えている」と述べた。

ホストメリでは約400人の住民が行方不明になっているとされ、殺された人がいるとの目撃者の証言も伝えられている。ウクライナ最高会議の人権担当者、デニソワ氏は5日、イルピンでは性的暴行や拷問を受けたとみられる10歳以下の子供が殺害されていたと発表した。

ウクライナのベネディクトワ検事総長はこれまでに約5000件の露軍の戦争犯罪の調査を開始したと表明。同国国防省はブチャでの民間人虐殺に関わったとされる露軍兵約1600人の名簿を公開した。

会員限定記事会員サービス詳細