春の新聞週間

上白石萌音さん「感性を文字で磨く」  川内有緒さん「社会を健全にする存在」 4月6日は新聞を

上白石萌音さん
上白石萌音さん

日本新聞協会と産経新聞社など全国の会員新聞・通信・放送局は、6日に始まる「春の新聞週間」に合わせ、俳優の上白石萌音さん、ノンフィクション作家の川内有緒(ありお)さんにインタビューした。普段の新聞の読み方、活字の魅力、新聞に対する思いなどについて聞いた。

俳優 上白石萌音さん「多くの記事に触れ 感性を文字で磨く」

今はいろんなメディアがあって、インターネットで情報がどんどん入ってくる。中でも新聞は社によってカラーがあり、記事に記者の思いが込められている。日常生活でいろんな人の意見を聞くのが大切なように、一つの記事だけで判断せず、なるべく多くの情報に触れるようにしている。

それは台本の読み方と似ている。物語の中で「なんだこの人!」って思う人にもそれまでの人生があり、その人なりの考えがある。一方的に悪いといわれている側にも、何か事情があるのかなって思いを巡らす。

祖父母は、新聞のテレビ欄に私の名前があったら蛍光ペンで線を引いて喜んでくれる。番組に出るときは、何時に出るよって電話をすると、こっちが言う前に「新聞で見たよ」って。昔お世話になった地元の方たちは、私のインタビューやコラムの記事を見つけては写真を撮って送ってくれる。デジタル時代だけど、新聞にはぬくもりがある。

朝起きるとニュースのラインアップが気になり、上位のものには目を通す。話題になるだろうし、いろんな意見が出てくると思って。そういうニュースはたくさん記事が出ていて多角的な視点を持てるチャンスだ。

街中のポスターや看板、説明書を読み込んでしまうくらい活字が好き。外出する際は必ずかばんに本を入れている。お芝居で作品に入る前は、関連した本を何冊か読む。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、和菓子やあんこに関する本を読んだ。看護師役をやる際は、看護学生が必ず読むという本を教えてもらった。文字で感性を磨く作業が私にとって不可欠だ。

かみしらいし・もね 平成10年生まれ。鹿児島県出身。主な出演作に映画「舞妓はレディ」、「君の名は。」、ドラマ「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」、「カムカムエヴリバディ」など。3月から舞台「千と千尋の神隠し」に主人公・千尋役で出演中。令和3年には書き下ろしエッセー「いろいろ」を刊行。歌手やナレーターとしても活動している。

ノンフィクション作家 川内有緒さん「社会を健全にする存在」

川内有緒さん(撮影=鍵岡龍門)
川内有緒さん(撮影=鍵岡龍門)

米ワシントンのコンサルタント会社で働いていた20代の頃、よく外でコーヒーを飲みながらワシントン・ポスト紙を読んだ。道端に新聞の入った箱があって、1ドル25セントを入れて中から取り出す。日曜版ともなると50ページもある。30分、1時間をかけてずっと目を通した。

一つのニュースで何ページにもわたる記事もあり、理解が深まった。署名記事も多い。記者が責任を持って書いているので、読む方も気持ちがいい。好きだった文化面では、展覧会の出展者や作品の背景などがたっぷり書かれていた。そうした物事の掘り下げは、芸術や文化を題材にすることが多い私の執筆にも影響を与えている。

日本で暮らす今は地元紙と経済紙を定期購読している。毎日、これだけの情報がアップデートされる媒体は新聞以外にない。地域面にはネットやテレビが取り上げないような魅力的な人が紹介されている。最近では、国境や性別を超えた「愛」を描く企画が面白かった。

新聞と本では違うと思うが、私は1冊の本を書くために同じ相手に50回話を聞くこともある。原稿は、客観性の担保が大事な一方、自分というフィルターを通して書く以上、主観も大事。一つのものを信じ過ぎず、取材を重ねることが主観を支えると思う。

日本の新聞には、取材した事実に対し、記者や新聞社の考えをはっきり示すことを求めたい。事件や政治家のおかしな発言などがあると「識者が指摘している」「海外メディアで批判が相次ぐ」という記事が目立つ。中立を装い、お茶を濁しているように感じる。新聞は世の中を健全化させる存在なので、期待している。

かわうち・ありお 昭和47年生まれ。東京都出身。米国企業、日本のシンクタンク、仏のユネスコ本部などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。平成22年以降は東京を拠点に評伝、旅行記、エッセーなどを執筆。著作に「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」、「バウルを探して」、「空をゆく巨人」(開高健ノンフィクション賞受賞)ほか。

日本新聞協会は平成年、4月6日を「新聞をヨム日」、日までの1週間を「春の新聞週間」と定めた。入学、就職など新生活が始まる時期に合わせて新聞のPRキャンペーンを実施している。

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