プロ選手になれるアスリートは、ほんの一握り。だが、そのうち長くトップアスリートとして活躍できるのはごく一部に過ぎない。女性アスリートの場合は特に、競技者として活躍できる時期に重なりがちな結婚や出産、子育てが、男性よりはるかに大きな〝壁〟となる。アスリートとして身につけたスキルや精神的成長が生かせるような環境整備は、まだ途上だ。
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「競技を取るか、女性としての人生を取るか」。ホッケーで2度、五輪出場を果たした小林(旧姓・小野)真由美(37)は現役時代、何度もこの自問自答を繰り返した。
「ホッケー王国」の富山県小矢部市出身。小学生でホッケーを始め、高校生で日本代表としてアジア大会に出場。天理大学(奈良)でも日本一を経験し、卒業後はコカ・コーラウエスト(福岡)のホッケーチームへ。だが、幼いころから「両親に迷惑をかけたくない」という思いが強く、「30歳までには結婚したい」と強く思っていた。