露軍の「戦争犯罪」証言相次ぐ 首都近郊以外でも

ロシア軍がウクライナで行った残虐な行為が相次ぎ報告されている。無抵抗の市民の殺害や女性への性的暴行など、報告は露軍が撤退した首都キーウ(キエフ)近郊にとどまらない。「戦争犯罪」追及の声が高まる中、被害はさらに広がる恐れがある。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は3日、ロシア軍に一時占拠された地域の住民ら10人の証言を基に「戦争犯罪」の事例を公表した。

HRWが紹介した目撃者の話によると、キーウ近郊ブチャでは露軍兵が3月4日、住民約40人を広場に集め、連行した男性5人のうち1人を射殺し、「処刑」した。シャツを頭からかぶせ後頭部から撃ち、兵士は「われわれは汚れを清めに来た」と口にしたという。

同様の「処刑」は他にもあった。北部チェルニヒウ近郊の村では2月27日、砲撃に備え地下室に隠れていた6人を、露軍兵が連れ出し射殺。遺体は頭部に弾痕があり手が縛られていた。

女性への性暴力も報告された。東部ハリコフで3月13日深夜、31歳女性が娘らと避難する学校で露軍兵に何度も性的暴行を受けた。女性は連行された別室で「子供に会いたくないのか」と脅され、ナイフで首や頰を切られたと話した。性暴力は、チェルニヒウや東部マリウポリでも報告された。

キーウ近郊の村では3月6日、住民が隠れる地下室に露軍兵が手榴弾(しゅりゅうだん)(しゅりゅうだん)を投げ込み、地上に逃れた女性と14歳の子供に発砲。子供は即死し、女性も後に死亡した。HRWは「一連の暴力は戦争犯罪として調査されるべきだ」と非難した。

露国防省は3日、ブチャでの暴力行為は露軍撤退の3月30日までに「一件もない」と主張。遺体が撮影された映像などを「デマ」と否定した。

だが、米紙ニューヨーク・タイムズはブチャで露軍撤退後に撮影した映像と撤退前の衛星画像を比較。撤退後の1日の映像に写る遺体の少なくとも11体が露軍支配下にあった3月中旬頃から放置されており、「多くは露軍が占拠していた3週間以上前に殺害された」と、露側の主張の矛盾を指摘した。

映像は市街地を車中から撮影。路上や壊れた車の脇に横たわる遺体十数体が確認できる。AP通信もブチャで発見した遺体画像を配信。後ろ手に縛られた遺体もあり、卑劣な行為があった様子がうかがえる。

ロイター通信や現地メディアによると、ウクライナ当局は5日、ブチャの教会近くの集団墓地に「150~300体の遺体が埋められていた」と明かした。

また、ウクライナ当局者は東部スムイ州でも3人の民間人が拷問を受け殺害されたと発表。南部ザポロジエ州の村でも露軍撤退後に遺体20体が見つかったと報じられている。(桑村朋)

会員限定記事会員サービス詳細