遺物が伝える皇帝たちの夢 京都市京セラ美術館「兵馬俑と古代中国」展

2号銅車馬 統一秦 秦始皇帝陵博物院
2号銅車馬 統一秦 秦始皇帝陵博物院

中国大陸に史上初めて強大な統一王朝を打ち立てた秦の始皇帝(前259~前210年)。その墓域を守る兵馬俑をはじめ、秦漢両王朝の中心地、関中(現在の陝西省)の出土文物を通じて、古代中国の変遷を紹介する展覧会「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産」が京都市京セラ美術館(京都市左京区)で開催されている。

春秋時代(前770~前403年)の秦は、列国で最も西に位置し、中国文明の中心地の国々からは西戎(西の異民族)とさげすまれた。しかし、進んだ東方の文化と、西方遊牧民の勇猛さを取り入れ、最強の軍団を築き上げ、戦国時代(前403~前221年)の混乱を統一した。

統一後の始皇帝は、多数の兵士とともに帝国各地を自ら巡行した。「皇帝」という新しい権威を、目に見える形で帝国全土に見せつけるとともに、天地の神への祭礼を行い、新たな支配者としての正統性を誇示することが目的だった。

その巡行の際に始皇帝が乗用した馬車を2分の1サイズで再現したものが、始皇帝陵から出土した銅車馬だ。出土された銅車馬は2両あり、本展で展示する銅車馬(複製)は安車、または轀輬車と呼ばれ、箱型で乗車する始皇帝の姿を外から隠す構造になっている。

秦を滅ぼした項羽や劉邦も、始皇帝の行列を目にして、それぞれ感慨を漏らしたと歴史書「史記」に記されている。2000年の時を超えて、遺物から在りし日の始皇帝を思い描くとき、どんな感慨を抱くだろうか。

鎏金青銅馬 前漢 茂陵博物館 一級文物
鎏金青銅馬 前漢 茂陵博物館 一級文物

古代にあっては、良質な軍馬は軍事力の重要な要素だった。漢の武帝(前156~前87年)は、北方遊牧民・匈奴と対峙する中で「汗血馬」と呼ばれる名馬を西方に求めた。「鎏金青銅馬」にはその面影が垣間見える。

一見リアルな造形だが、両耳の間に三角形の小さな角のようなものがある。西域の馬にあるとされた「肉角」の可能性があるという。本品が出土したのは、対匈奴戦争の指揮官である大将軍の衛青の妻だった武帝の姉の墓域。武帝がまだ見ぬ汗血馬を想像して作られた品かもしれない。

このほか、始皇帝の実父とも言われる宰相・呂不韋の名前が刻まれた青銅製の戟(矛など複数の武器の機能を持たせた長柄武器)なども展示。貴重な文物の一つ一つが、中国大陸を舞台に繰り広げられた歴史ロマンを語りかけてくれるだろう。

開催概要

日中国交正常化50周年記念 兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~

会期:3月25日(金) 〜 5月22日(日) 午前10時~午後6時 (展示室への入場は閉館30分前まで)

休館日:月曜日(ただし5月2日は開館)

会場:京都市京セラ美術館 本館北回廊2階

アクセス:京都市営地下鉄東西線「東山駅」より徒歩約8分、京阪「三条駅」・地下鉄東西線「三条京阪駅」より徒歩約16分。市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ。

観覧料:一般2000円、大高生1500円、中小生900円

>「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」展公式WEBページ


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