重度障害者の家族らが作ったグループホーム 茨城・牛久に開設

入所者と笑顔で並ぶ大竹正博さん(左端)、越戸利江子さん(左から2人目)らオルオルを設立した家族たち=いずれも牛久市岡見町
入所者と笑顔で並ぶ大竹正博さん(左端)、越戸利江子さん(左から2人目)らオルオルを設立した家族たち=いずれも牛久市岡見町

重度の知的・身体的障害者が医療的ケアを受けながら暮らせるグループホームが今月1日、牛久市に誕生した。開設したのは、当事者の家族の会が立ち上げた一般社団法人。いずれも重度の知的障害がある娘や、寝たきりで意識が戻らない妻を抱える家族ばかりだ。重度障害者を受け入れる施設は県内では少なく、同様のホーム開設は県内で初めてという。家族らは「困っている人は多く、こうした施設が少しでも広がってほしい」と期待している。

施設は自分の家、自分の部屋

オープンしたのは、重度知的・身体障害者向けグループホーム「olu olu(オルオル)」。オルオルはハワイ語で「親切な」「快適な」「心地よい」などを意味する。

個室が10室あり、16歳から51歳までの障害者が暮らす。看護師らスタッフ15人が常駐し、デイサービスなどで医療的ケアを受けることができるほか、ホームから特別支援学校に通うこともできる。

「施設は自分の家、自分の部屋」という考えから、壁紙の色やレイアウトは自由に選べる。家族が急な葬儀などの際に短期入所できる部屋も1室設けられた。

今もこれからも見守り必要

当事者の家族の会である一般社団法人オルオル代表理事の越戸利江子さん(43)は、知的障害がある18歳の娘がいる。

「娘は1人でトイレに行くことも難しく、今もこれからも、常に家族の見守りが必要です。でも、親は子供より長生きはできない」

医療や福祉関係者から「自宅にいるより施設に入ったほうがいい」と勧められてきた。「でも、そうした施設は県外の山奥で、しかも入所を何年も待って空きを待つ状況でした」

牛久市に近い美浦村にあるJRA美浦トレーニングセンターの調教師、大竹正博さん(52)は、妻が数年前に寝たきりで意識が戻らない状態になった。友人の出産祝いの買い物中に突然倒れた妻。現在は、妻の80代の母が愛知県から来てくれるが、大竹さんが世話することも多いという。

「午前3時に起きて妻の世話をして、4時から仕事が始まる。自分の苦労はいいが、困っている人は多い。行政に一方的に頼るのではなく、自分たちでできることはやろうと考えた」

同様の施設「広がってほしい」

3月末に開かれた完成式典。越戸さんはあいさつに立ち、「10年前から計画して、きょう、やっとスタートラインに立てました。本番はこれから。皆さんに助けてもらって、支え合いながら全力で取り組みたい」と時折、声を詰まらせた。

準備段階からの越戸さんの苦労を知ってか、もらい泣きする関係者も多く、口々に「ここがモデルケースというのはおこがましいが、少しでも参考にして、同様の施設が広がってほしい」と話していた。

「娘のために、妻のために」という家族らの強い思いが「夢」を実現させた。

10室はすでに埋まっている。問い合わせはオルオル029・893・4082。(篠崎理)

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