主張

ウクライナ避難民支援に傍観は許されない

ロシアによる侵略を受けたウクライナの避難民が5日、ポーランドから日本の政府専用機で来日した。日本行きを希望した避難民のうち、自力での渡航手段の確保が困難な20人である。

ウクライナから周辺国に逃れた避難民は420万人を超えた。献身的な支援活動が行われているが周辺国だけでは限界がある。

先進7カ国首脳会議(G7サミット)は受け入れの用意と周辺国への支援強化を表明した。国際社会と力を合わせ、相応の役割を果たすことは日本の責務で、今回の受け入れも当然の措置である。

ただし、20人というのはいかにも少ない。急遽決まったためかもしれないが、政府は積極的に避難民を受け入れるための取り組みを強めるべきだ。そのうえで避難民が安心して暮らせるよう生活支援に万全を期したい。

ウクライナ国内で避難生活を送る人と合わせた避難民は1千万人を超えた。人口の4人に1人が住まいを追われたことになる。避難民を受け入れる周辺国には欧州最貧国の一つであるモルドバのような国もあり、資金や人的負担で手を差し伸べる必要がある。

ポーランドは避難民の約6割に当たる240万人を受け入れている。林芳正外相が同国を訪れて収容施設を視察し、現地の国際機関関係者らと意見交換したのは意義があった。今回の20人は外相の帰国に合わせて来日した。

日本政府は、国内に身元を保証する親族がいなくとも入国を認めることとし、受け入れの本格化へ態勢作りを進めている。避難民には当面の滞在先を提供、生活費を支給し、支援を申し出た自治体や企業とマッチングを調整する。

心強いのは、東京都などの地方自治体や民間企業から支援の申し出が相次いでいることだ。東日本大震災の被災地、岩手県宮古市は「恩返しがしたい」と、公営住宅の提供を決めた。

18~60歳の男性は徴兵対象として出国が禁じられているため、多くは女性や子供たちだ。故郷を破壊され大切な人と離れ離れとなった心の傷は察するに余りある。温かく接することが重要だ。

北朝鮮は核・ミサイル開発を進め、中国は台湾併合の野心を隠さない。日本周辺で難民が出る可能性や日本人が避難を余儀なくされる事態も否定できない。ウクライナの状況に傍観は許されない。

会員限定記事会員サービス詳細