変革期待 大企業傘下に30代社長続々 デジタルに強み、幹部育成・離職回避も

アバターインのロボットを遠隔操作して大分県佐伯市を観光する女性のイメージ
アバターインのロボットを遠隔操作して大分県佐伯市を観光する女性のイメージ

年功序列が根強い日本の大企業で、30代を中心に若い社員がグループ会社の社長に就く例が目立っている。デジタル技術に明るい世代で、関連事業を新規に立ち上げるケースが多い。テクノロジーの進化や気候変動問題への対応などで経営環境が激変しており、既存の事業や手法にとらわれず、改革する役割が期待されている。

昨年11月、三井住友フィナンシャルグループ(FG)の取引先向けオンラインイベント。傘下のプラリタウン(東京)の並木亮社長(39)は、自社名を印字したTシャツ姿で登場し、親会社の太田純社長(64)との対談に臨んだ。

並木氏は三井住友FG出身。プラリタウンは中小、中堅企業のデジタル化を支援するベンチャーで、「(デジタル化に向け)何から着手するべきか分からない企業が多い」(並木氏)との問題意識から、太田社長のゴーサインを得て令和2年5月に設立した。

銀行経営は低金利などで厳しく、生き残りのためには発想の転換が求められている。並木氏はイベントで「殻を破るためには、会社全体のカルチャーを変えないといけない」と述べ、太田氏は「変革が必要だというモデルケースとして並木社長の役割は大きい」と紹介した。

ANAホールディングス傘下のアバターイン(東京)は30代がトップを務め、パソコンで遠隔操作できるロボットを使った観光サービスなどを展開。三菱地所には今年1月時点で20~30代が社長を務めるグループ会社が7社あり、スマートフォン向け旅行ガイドアプリなどの事業を手掛けている。共同出資会社のトップを若手に任せるケースもあり、ダイキン工業やパナソニックなどによるシェアオフィス運営会社の社長もダイキン出身の30代だ。

大企業の新規事業を支援するデロイトトーマツベンチャーサポート(東京)の斎藤祐馬社長(39)は若い世代のトップ就任に関し「5年前までは目立たなかったが、今は業種に偏りなく増えている」と説明する。新型コロナウイルス流行によるテレワークの浸透などをきっかけにデジタル技術の重要性が認識されたことも後押ししたとみている。大企業と給与水準が近く、若くても権限を持てるベンチャーが目立ってきているといい「チャンスを与えないと(大企業から)優秀な人が抜けてしまう」と指摘する。

幹部候補の育成に役立てられる利点もある。経済産業省は企業の人材開発に関する指針を今春に公表する予定で、幹部候補にグループ会社の社長を務めさせることなどを推奨する。今後大企業で若手や中堅の抜擢(ばってき)が加速する可能性がある。

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