ウクライナに侵攻したロシアは5日までに、東部ミコライフや南部オデッサに砲撃やミサイル攻撃を続けた。ミコライフでは子供を含む市民11人が死亡。クラスター(集束)弾が再び使用されたとの情報もある。東部マリウポリから民間人を退避させる「人道回廊」をめぐっては、赤十字国際委員会(ICRC)が支援する退避バス団が付近まで到着しているが、露軍が市内に入ることを許可せず、立ち往生している。
ミコライフ州当局は4日、露軍のミサイル攻撃が小児科病院に着弾し、子供1人を含む2人が死亡したと発表。同日にはショッピングモールも露軍の砲撃を受け、9人が死亡し、61人が負傷した。当局は露軍がクラスター弾を使用しているとして非難した。ウクライナメディアが伝えた。
1発の爆弾が子爆弾をまき散らして広範囲を破壊するクラスター弾は非人道的だとして2010年に禁止条約が発効したが、ロシアは加盟していない。ウクライナ侵攻ではこれまでも露軍によるクラスター弾の使用が報告されてきた。
オデッサでも4日、露軍のミサイルが着弾。死傷者はなかった。東部ハリコフやイジュムでも激しい戦闘が続いている。一方、ウクライナ軍は同日、北部ジトミル州を露軍から解放したと発表した。
露軍に包囲され、市民10万人以上が取り残されているマリウポリでは、ICRCの支援団が随行するバス7台が付近の集落に到着したが、ウクライナ政府によると、4日夜までに露軍の妨害で市内に入れていない。露国防省は「ウクライナ兵が人道回廊を利用して脱出する」と主張。市民12万人超を露国内などに一方的に「避難」させており、ウクライナ側は人権侵害だとして非難している。
一方、プーチン露大統領は4日、対露制裁を発動した「非友好国」の国籍者の入国を制限するよう外務省など関係当局に命じる大統領令に署名した。ロシアは非友好国に日本や米欧を指定。査証(ビザ)発給の厳格化などが想定される。大統領令は当局側に恣意(しい)的に運用される恐れがある。