アラブ連盟 ロシアに配慮 穀物や原油の供給にらみ

【カイロ=佐藤貴生】ロシアのウクライナ侵攻を受け、アラブ連盟(22カ国・地域)の代表団は4日、ロシアの首都モスクワでラブロフ外相と会談した。代表団のシュクリ・エジプト外相は記者会見で、ロシアとウクライナを調停する用意があると述べた。アラブ連盟の主要国は穀物取引や原油価格を維持するため対露関係に配慮しているとされ、ロシアを刺激する発言を控えた可能性もある。

ドバイの衛星テレビ、アルアラビーヤ(電子版)によると、シュクリ氏はロシアとウクライナの戦闘が世界のエネルギーや食料の安全保障に否定的影響を及ぼしていると語った。

ロシア、ウクライナに対するアラブ諸国の穀物依存度は世界でも高い部類に入る。国連食糧農業機関(FAO)によると、ロシアの昨年の小麦輸出量は世界トップでウクライナは5位。一方、人口1億人超のエジプトは小麦の7割を両国に依存している。チュニジアは穀物の8割、レバノンも小麦の6割を両国の輸出に頼る。

エジプトでは侵攻後にパンが値上がりし、政府が価格統制を始めた。通貨エジプト・ポンドの価値が対ドルで急落するなど経済不安が現実味を増している。

ロシア安全保障会議のメドベージェフ副議長(前大統領)は1日、「食料や農産品は友人にしか供給しない」と交流サイト(SNS)に投稿し、米欧のように対露制裁を行えば供給が滞ると暗に警告した。

ロシアはアラブ連盟の一角を占めるペルシャ湾岸の大国サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)とも関係を維持している。両国はロシアの侵攻による原油価格の上昇を容認しているとみられ、バイデン米政権が求める原油増産への協力姿勢を示していない。

サウジとUAEは2015年にイエメン内戦に軍事介入し、親イランの民兵組織フーシ派と戦ってきたが、両国はバイデン政権が戦闘継続のための軍事支援を停止したことに反感を抱いているとされる。

エジプト英字紙アハラム・ウイークリーのハニ・ファルーク氏は、「エジプトは小麦の輸入以外に軍事や観光などでもロシアと密接な関係があり、平和的解決を求めるしかすべがない。サウジは米政権に従う義務はないと考えている」との見方を示した。

アラブ連盟の代表団は5日、ポーランドに移動してウクライナのクレバ外相と会談する。

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