米、露の戦争犯罪追及へ 国務長官、5~7日訪欧

【ワシントン=大内清】ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の各都市で市民への残虐行為の痕跡が相次いで報告されるなか、米国のブリンケン国務長官は3日、証拠となる事実関係を徹底して記録し、露軍による戦争犯罪を追及する考えを強調した。またブリンケン氏は、プーチン露政権が軍部隊を再編して東部や南部に攻勢を集中させる可能性が高い半面、キーウ方面に再び進出する恐れも否定できないとし、事態の推移を慎重に見極める姿勢を示した。

米CNNテレビの番組に出演したブリンケン氏は「(ロシアの侵攻によって)ウクライナで何が起き、誰にどれほどの責任があるのかを評価するのに必要な情報をすべて記録し、関係する機関や組織に提供する」と語った。戦争犯罪の捜査を行う国際刑事裁判所(ICC、本部ハーグ)などに協力する考えとみられる。

国務省によると、ブリンケン氏は5日から7日の日程でブリュッセルを訪問し、北大西洋条約機構(NATO)と先進7カ国(G7)の外相会合に参加予定。ウクライナへの継続的な支援などに加え、露軍による残虐行為への対応も協議するとみられる。

またブリンケン氏は3日のNBCテレビで、一時急落した露通貨ルーブルが回復するなど対露制裁が十分な効力を上げていないとの指摘について、ルーブルが持ち直したのは為替操作によるもので「持続性はない」と指摘。米国は同盟・パートナー諸国とともに制裁措置の追加や厳格化を進めており、露経済が中長期的に大きな打撃を受けることは不可避だとも強調した。一方で「制裁の目的は無期限(に科し続けること)ではない」とも話し、ウクライナとロシアの停戦交渉の展開次第では制裁緩和に応じる可能性に含みを残した。

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