キーウ州で410人死亡 マリウポリ付近に赤十字バス到着

ウクライナ首都キエフ近郊で破壊された住宅=3月30日(ロイター)
ウクライナ首都キエフ近郊で破壊された住宅=3月30日(ロイター)

ウクライナ検察当局は3日、ロシア軍から奪還した首都キーウ(キエフ)近郊の各都市から民間人410人の遺体を搬出したと発表した。検視し、戦争犯罪として露関係者を訴追する方針。露軍は各地で攻撃を続け、東部ハリコフでは砲撃で子供を含む20人以上が死傷した。東部マリウポリではこの日も「人道回廊」が設置されたが、避難できたのは少数にとどまった。ただ、赤十字国際委員会(ICRC)の退避用バス7台が付近の集落に到着した。

露軍が撤退した北部キーウ州はウクライナ国防省が2日、全域の奪還を発表。しかし、ブチャやイルピン、ホストメリなどキーウ近郊の都市で3日までに露軍に殺害されたとみられる多数の民間人の遺体が見つかった。ウクライナ当局が死因や身元の特定を進めている。犠牲者数は今後、なお増える恐れがある。

北部チェルニヒウの市長は3日、地元テレビに、市内の建物など「70%が破壊された」と明らかにした。

ウクライナメディアによると、同国のゼレンスキー大統領は米CBSテレビに同日、ブチャなどで「ジェノサイド(集団殺害)」が起きたとし、プーチン露大統領や軍関係者を訴追すべきだと表明。米欧諸国も戦争犯罪だとロシアを非難した。タス通信によると、露国防省は関与を否定した。

露国防省は3日、キーウ南西ワシリコフの軍事施設や、南部ミコライフ州と西部リウネ州の燃料貯蔵施設をミサイルで破壊したと発表。ウクライナメディアによると、東部ハリコフも3日、砲撃を受けた。一方、同国軍は同日、ハリコフ周辺で露戦闘爆撃機スホイ34を撃墜したと発表した。

露軍に包囲され、市民10万人超が取り残されているマリウポリでは3日も人道回廊の設置が試みられた。ウクライナ政府によると、退避は自家用車などを使った469人にとどまった。しかし、過去2日連続で失敗していたICRCの退避バス7台が付近に到着し、市内に入れるよう露側と交渉しているという。同市当局は民間人の死者が既に数千人規模に上っている恐れがあると報告している。

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