「不肖・宮嶋」の異名で知られる報道写真家、宮嶋茂樹さん(60)の作品展「南極観測隊」が24日(日)まで、東京都千代田区の日本カメラ博物館JCIIフォトサロンで開催されている。
宮嶋さんが1996年11月から97年4月にかけ、日本の「第38次南極地域観測隊」に報道オブザーバーとして加わり、撮影した2000本以上ものフィルムの中から厳選した写真65枚を展示している。すべてモノクロ。
作品は、南極観測船「しらせ」で乗組員や観測隊員たちと寝食を共にしながら南極へ向かう海上から始まる。船上での彼らの表情、南氷洋のすさまじい暴風雨、甲板から見える巨大な氷山、氷海を割りながら進む海域では激しい揺れの中での撮影となった。
南極に近付くと氷上にペンギンやアザラシの姿も見える。昭和基地到着後はカメラを首に下げ、総出での物資の積み降ろし、運搬作業などにまじわり、自身も一員として働きながら撮影。ドームふじ基地、みずほ基地、昭和基地などでは隊員たちの職住一体の生活に密着、観測や研究に従事する姿、食事やだんらん、時には排泄(はいせつ)物の処理までレンズを向け、そこにはもう一つの日本があった。
写真の他には、現地で使用したものと同型のカメラや、隊員たちとの記念の寄せ書きなども展示されている。
この38次隊には、産経新聞社の芹沢伸生写真記者(当時)も同行し取材していた。宮嶋さんが南極で撮影していた写真は、芹沢記者が協力し、産経新聞社の電送機を使って衛星回線で日本に送信。それらは雑誌のグラビアに掲載されていた。
展覧会初日の3月29日、会場に宮嶋さんの姿はなかった。ロシア軍がウクライナに侵攻し、戦場になっている現地で取材を続けている。
(文・坂本慎平)
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宮嶋茂樹作品展「南極観測隊」
JCIIフォトサロン(東京都千代田区一番町25番地 JCII ビル)
4月24日(日)まで。月曜休館(祝・祭日の場合は開館)。午前10時~午後5時、入場無料