連合福岡、参院選で苦渋の2候補推薦

連合福岡の藤田桂三会長(中央)から参院選の推薦決定通知書を受け取った立憲民主党の古賀之士氏(左)と国民民主党の大田京子氏=2日、福岡市博多区
連合福岡の藤田桂三会長(中央)から参院選の推薦決定通知書を受け取った立憲民主党の古賀之士氏(左)と国民民主党の大田京子氏=2日、福岡市博多区

今夏の参院選福岡選挙区(改選数3)をめぐって、連合福岡が厳しい状況に追い込まれている。分裂を避けるため、支持政党の立憲民主、国民民主両党に候補の一本化を求めたが実現せず、やむなく両党候補を推薦することになったからだ。連合、立民、国民の3者による連携を模索するが有効策は見通せず、3年前の参院選同様、分裂は避けられそうにない。

「両党の支持が広がっている状況にはなく、本当に厳しい選挙戦になる」

連合福岡の藤田桂三会長は2日、福岡市内で立憲民主党の現職、古賀之士氏と国民民主党の新人、大田京子氏に推薦決定通知書を手渡し、危機感を示した。

連合福岡と古賀、大田両氏は同日、それぞれ共通の政策協定も結んだ。古賀氏は「状況は極めて厳しいが、初心に帰って分かりやすい政治を目指す」。大田氏は「女性の視点を政策に反映させたい」と意気込みを語った。

参院選での目標について、藤田氏は「できる限り2議席、悪くても1議席以上」と強調する。ただ、報道各社の世論調査では両党の支持率は低迷し、福岡選挙区でも2人当選は見通せる状況ではない。藤田氏は「現実的には1議席を死守するのにも相当な取り組みが必要だ」と漏らす。

こうした危機感から連合福岡は昨年末、立民、国民両党に候補者の一本化を要請した。立民現職の古賀氏を無所属の統一候補として擁立する案が浮上したが、当選後の党籍などで折り合いがつかず、結局は両党本部の反対で頓挫した。

野党候補の一本化を模索する改選1人区と違い、改選複数区では各党がそれぞれ候補を擁立することは当然ともいえる。それでも連合福岡が「支援団体としては行き過ぎた行為」(藤田氏)にも関わらず、一本化を求めたのには前回参院選の苦い経験もある。

3年前の選挙でも立民現職に加え、国民が公示直前に急遽(きゅうきょ)、独自候補を立て、旧民進党系が議席を争う構図となった。連合福岡は両党候補を推薦せざるを得ず、傘下の産業別労働組合は「股裂き」状態に。当時の連合福岡会長は選挙後、「2度とこのような選挙はやりたくない」と苦々しく振り返った。

連合福岡は「3年前の反省を踏まえ、組織が割れないような工夫をこらしていく」とするが、分裂を避けるのは容易ではない。

連合福岡傘下の35産別のうち主要9産別は、立民と国民にはっきり色分けされ、それぞれ両党から比例に組織内候補を擁立する。態度を明確にしていない残りの26産別を中心に一体的な取り組みに向けた協議を重ねる方針だが、具体策を見いだせるかは不透明だ。

連合福岡としては立民、国民両党候補が同じテーブルについて共通の政策協定を結ぶ場面を設けることで、3者間の一体感を演出する狙いもあったが、逆に党本部レベルでは両党間の距離は離れつつある。

大田氏も「(立民とは)政策実現に向けた姿勢に違いがある。有権者が求めている国民民主への期待は、立民にはないものがある」と話す。

「来年の統一地方選に向けても3者連携の枠組みが崩れないようにやっていきたい」。藤田氏はこう話すが、立民、国民両党が票を奪い合う中で、連合関係者は「連携といっても実際には難しい」と頭を悩ます。(小沢慶太)

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