台湾、万博は民間パビリオン 中国反対で「実をとる」

2025年大阪・関西万博に、台湾が民間企業を通じてパビリオンを出展する。台湾は半導体分野で世界的にずば抜けた存在感を誇るが、中国の反対で万博開催国が招請せず、出展を再三拒まれ続けてきた経緯がある。今回、台湾側は半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などにも参加を呼びかけるといい、〝名を捨てて実を取る〟構えだ。

大阪万博の運営主体「日本国際博覧会協会」は2月、パビリオンを出展する13の民間企業・団体を発表。パナソニックやNTTなど著名な日本企業の中に、昨年10月に設立されたばかりの「玉山(たまやま)デジタルテック」(東京都千代田区)の名があった。同社は台湾の非営利組織で日本貿易振興機構(ジェトロ)にあたる「台湾貿易センター」が100%出資した子会社。会社の登記簿によると、本社は台湾貿易センター東京事務所と同じ場所にあり、社長も同事務所長の陳英顕氏が務めている。

「日本の大都市で開催される万博に台湾も貢献したいと考えた。どういう形で参加できるか検討した結果、企業パビリオンの形なら可能性があるということで、とりあえず応募した」。陳氏は産経新聞の取材に「万博への参加も会社設立の目的の一つだ」と認めつつ、「台日間の貿易実務に関する支援依頼が多いため、より柔軟に対応できる株式会社の設立を準備していた」と説明する。

玉山(ぎょくざん)は台湾の最高峰だ。一方、日本には「玉山(たまやま)」という地名もあるため、会社の名称は「たまやま」と呼ぶことにしたという。

万博では台湾のハイテク産業界と連携し「未来のライフスタイル」を提案する計画。TSMCなどの有力企業に結集を呼びかける。

台湾の産業は日本と深いつながりがある。ジェトロ・アジア経済研究所の佐藤幸人上席主任調査研究員は「日本の貿易額で台湾は輸出、輸入ともに5位以内に入る重要なパートナー。日本は台湾でしかつくれない半導体に依存する一方、日本の半導体材料などの重要な顧客でもあり、結びつきは強い」と指摘する。

1970年の前回大阪万博では、台湾が当時、日本と外交関係があり、国連にも加盟していたため「中華民国館」として出展。71年の国連脱退後は中国の圧力で正式な万博出展ができなかった。一方、中国は2010年の上海万博で、親中路線の馬英九政権発足を受けて40年ぶりに台湾を招待。民間名義とするなど「玉虫色の解釈で出展した」(陳氏)経緯がある。

東京国際大の河崎眞澄教授は「中国はその時々の政治事情で、国際イベントにまで〝政治介入〟してくるが、台湾は『名を捨てて実をとる』との現実的な戦術をとり、存在感を高める努力を続けている」と指摘する。(西見由章)

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