【シンガポール=森浩】インド洋のスリランカは1日、経済危機に反発する市民の抗議活動が拡大していることを受け、全土に非常事態を宣言した。対中債務返済に苦しむスリランカは外貨が急激に減少し、物資不足が深刻化。市民の不満が拡大している。
ラジャパクサ大統領は宣言について「公共の秩序を守り、必要な物資やサービスを維持するために必要」と主張した。
スリランカ経済は新型コロナウイルス流行による観光業の打撃や無計画な減税などにより、急速に悪化している。輸入代金の決済や対外債務支払いに使う外貨準備高は1月末時点で約23億ドル(約2800億円)で2年間で7割落ち込んだ。
国内では発電用の燃料が足らず、3月31日には13時間の計画停電を実施した。医療品不足も拡大している。同日には最大都市コロンボで不満を抱いた市民が大統領官邸を襲撃し、約50人が逮捕された。
スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)の支援要請に向けた調整を進めているが、事態の好転につながるかは不明だ。