香港の名門キャセイパシフィック航空が低迷から抜け出せないでいる。昨年は2年続けて赤字決算となり、今年も厳しい見通しだ。手を緩める気配がみられない中国の厳しい新型コロナウイルス対策が大きく響く。香港の都市としての魅力低下も懸念される。同じアジアの航空会社では大韓航空やシンガポール航空などの業績が上向いており、キャセイの停滞感が著しい。自力回復は難しい情勢で、「中国頼み」が強まっている。
キャセイといえば、英国の航空サービス格付け会社「スカイトラックス」が認定する最高評価〝5つ星〟の航空会社の1社だ。顧客満足度が高いなどとして、その年を代表する航空会社に贈られる「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に最多の4回選ばれた実績も持つ。「憧れのエアライン」であるキャセイの業績が一向に上向かない。
2021年12月期決算は55億2700万香港ドル(約820億円)の最終赤字だった。過去最大となった前年の216億4800万香港ドルからは74・5%縮小したものの、最終赤字は2年連続。今期も新型コロナの影響はなお大きく、改善の兆しが見られない。同社のパトリック・ヒーリー会長は3月9日の決算発表に合わせて出した声明で「22年は非常に困難なスタートになった」とコメントした。