米欧日韓…広がるウクライナ読み キエフは「キーウ」 大統領も感謝

ロシアメディアとのインタビューに応じるウクライナのゼレンスキー大統領=3月27日、キエフ(大統領府提供・AP=共同)
ロシアメディアとのインタビューに応じるウクライナのゼレンスキー大統領=3月27日、キエフ(大統領府提供・AP=共同)

ウクライナの首都の呼称をキエフから「キーウ」に変更するなど、同国の地名をロシア語読みからウクライナ語読みに統一すると3月31日に発表した日本政府。ウクライナとの連帯を示す狙いで、同様の動きは2月24日のロシアによるウクライナ侵攻開始後、欧米などでも加速する。

メディアでは、英ニュースサイトのインディペンデントや仏紙リベラシオンが表記をウクライナ語読みに変更。このうち米公共ラジオは「脅迫的なロシアの言葉を使うのは無礼」と理由を示した。韓国外務省も3月初旬、ウクライナ語読みを採用する方針を出した。

ウクライナ外務省は2018年、母国語読みを広める運動を始め、ツイッターなどで訴えを拡散。その結果、19年に米国政府がキーウ表記に一本化、英BBC放送などのメディアや世界の主要空港も追随した。露軍の侵攻以降、一連の動きに拍車がかかった形だ。

日本でも過去に議論されていた。19年、在日ウクライナ大使館の要望で両国外務省や専門家の有識者会議が開かれ、ハリコフを「ハルキウ」、チェルノブイリを「チョルノービリ」などとする試案を公表した。

座長を務めたウクライナ研究会会長の岡部芳彦神戸学院大教授によると、同国はソ連時代の名残でロシア語話者が多く、キエフも長年定着。ただ14年のクリミア占領後、ロシア語読みに抵抗を感じる人も増えた。「ソ連時代に母国語が禁じられるなどウクライナは苦難の連続だった。母国語で地名を呼ぶのは当然。日本の決定は現地から歓迎されるはずだ」と語った。

ウクライナのゼレンスキー大統領は3月31日、ツイッターで日本の決定に「感謝している。他の国々もこれに続くよう呼びかける」と述べた。(桑村朋)

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