元宝塚トップ・朝海ひかるが追求する無垢な残酷さ

サロメ役の朝海ひかる。義父の求めで舞う官能的な「七つのヴェールの踊り」はダンスが得意な朝海の見せ場となる(吉原朱美氏撮影)
サロメ役の朝海ひかる。義父の求めで舞う官能的な「七つのヴェールの踊り」はダンスが得意な朝海の見せ場となる(吉原朱美氏撮影)

オスカー・ワイルドの不朽の名作「サロメ」を現代に置き換えた新解釈の舞台「サロメ奇譚(きたん)」が4月9~10日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで上演される。サロメを演じるのは元宝塚歌劇団雪組トップスター、朝海ひかる。「サロメは無垢(むく)な少女のイメージ。今の年齢でどう演じるか戸惑いはあったけれど、性別をも超える舞台のマジックを発揮して『朝海ひかる、まだ無垢できるんだな』というところまでいければ」と意欲的に語る。

原作のサロメはユダヤの王女。今作では現代の世俗的な実業家の娘という設定だ。

血のつながらない義父のヘロデ(ベンガル)から性的な目で見られ、母のへロディア(松永玲子)には過剰に「女らしさ」を求められる環境にうんざりしていたサロメ。突如現れた預言者、ヨカナーン(牧島輝)に強く惹かれるが-。

ヨカナーンの首を求める残酷で倒錯的なヒロインという原作の骨格はそのままに、ペヤンヌマキの脚本と稲葉賀恵の演出で、現代的な血の通ったサロメが立ち上がる。

「ある日、救いの神と信じる人が現れてサロメの孤独な心に一筋の光が入る。その執着心や、愛情が否定されたときの反動から首を切るという行動に出たのでは」と朝海。「原作よりもサロメのバックグラウンドに重きが置かれているので、より共感してもらえると思う」と語る。

宝塚の初舞台から30年、平成18年の退団からは15年が過ぎた。俳優としての方向性を模索する中で、昨年出演した「日本人のへそ」では1場面ごとに異なる役を演じ、「舞台に立って演じるというシンプルなことが好きなのだと目が覚めた」と振り返る。

「どんな俳優にでもなっていける柔軟さを持っていたい」。今作でもしなやかに情熱的に、朝海ならではの「無垢」を追求する。

問い合わせは梅田芸術劇場(06・6377・3888)まで。(田中佐和)

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