外交青書、北方領土「不法占拠」「固有の領土」復活

北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える
北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える

令和4年版「外交青書」の概要が31日、判明した。北方領土について「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」と説明した。外交青書で「不法占拠」と表現したのは平成15年版、「日本固有の領土」は23年版以来。ロシアのウクライナ侵攻を受け、北方領土返還交渉は「展望を語れる状況にはない」と記述した。

外交青書ではウクライナ侵攻について「人類が過去1世紀にわたり築き上げてきた武力の行使の禁止、法の支配、人権の尊重といった、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である」と非難。「歴史の大転機である」とも指摘した。

また、中国をはじめとする新興国が存在感を増しているとの認識を示し、「米国が圧倒的な政治力・経済力・軍事力により先進民主主義国と共に主導力を発揮して国際社会の安定と繁栄を支える時代から、米中競争、国家間競争の時代に本格的に突入した」と分析。米国の国力の相対的な低下を明確に認めた。

その上で、日米同盟に関しては、首脳会談や外相会談などを通じて「史上かつてなく強固なものとなっている」と強調した。菅義偉前首相とバイデン米大統領が昨年4月に発表した共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」が強調されたことに言及しつつ、岸田文雄首相とバイデン氏との間でも「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化することで一致した」と説明した。

また、新型コロナウイルス対策や地球温暖化対策など地球規模課題では国際協調が必要だが、「国家間の主導権争いが見られるようになっている」と分析。日本としては「普遍的価値を共有するパートナーとの結束を強め、力による一方的な現状変更の試みに対抗する国際社会の取組を主導していく」と強調した。

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