18歳から「大人」に 民法、少年法約140年ぶり改正、何がどう変わるのか

4月1日に改正民法と改正少年法が施行されるのに伴い、多くの場面で「成人」の対象年齢が20歳から18歳に引き下げられる。成人の定義が見直されるのは、実に約140年ぶり。何がどう変わるのか、どんな点に注意すべきか、詳しくまとめた。

消費者トラブルの増加懸念 失われる保護規定

改正民法で成人年齢が引き下がり、商取引などの面で18、19歳も大人とほぼ同等の権利を有することになる。ただ、結んだ契約を簡単には取り消すことができなくなるなど、権利拡大に伴った大人としての責任も求められる。

民法5条には、未成年者が契約などを結ぶ場合は保護者らの同意が必要で、同意を得ていない契約は取り消すことができるという規定がある。「未成年者取り消し権」と呼ばれ、社会経験の乏しい若者を売買契約などのトラブルから保護することを目的としている。

例えば、「初回お試し500円」という化粧品のインターネット広告を見た18歳の女子高生が、注文確認画面に記載されていた「商品を半年間定期購入する」という条件を見落としたまま、親の同意なくネット注文したとする。この場合、結果的に請求金額が10万円になっても、契約の取り消しが認められてきた。

消費者問題に詳しい長田淳弁護士によると、「親の同意を得た」と偽った場合は認められないこともあるものの、親のクレジットカードを使って勝手にネットゲームに課金した、といったケースでも、一般的には契約を取り消すことができるという。

しかし、今後は18、19歳はこうした保護の対象ではなくなる。長田弁護士は「今も20歳前後の消費者トラブルは特に多い。今後、家庭や学校での若い世代への消費者教育が非常に重要になる」と強調する。

一方、飲酒・喫煙のほか競輪、競馬などの公営ギャンブルについては「20歳まで禁止」が維持される。18歳には高校生も含まれるため、非行防止や健康面への影響に配慮した格好だ。

また、女性の結婚可能年齢は16歳から18歳に引き上げられ、男女差がなくなる。これまで未成年の結婚には親の同意が必要だったが、今後は当事者の同意があれば認められる。

投資で得た利益を非課税にできるNISA(少額投資非課税制度)については、18歳の利用が認められるのは来年1月から。法務省の担当者は「制度によって現状が維持されたり、18歳から可能となる時期がずれるものもあるので注意してほしい」と呼びかけている。

少年法 18、19歳を厳罰化も一定の特例は維持

改正少年法で犯罪を起こした18、19歳は「特定少年」と位置付られ、刑罰を科す犯罪が拡大される。起訴されれば実名報道も可能となる一方、更生を目的とした保護処分の対象であることは維持されるなど、20歳以上とは異なり「少年」として一定の特例は残る。

少年法の主な理念は、非行少年の健全育成。このため、少年事件では検察官が起訴不起訴の判断をせず、まず家庭裁判所に全件送致する。その際、家裁が「刑罰を科すべきだ」と判断し検察官送致(逆送)しなければ、少年が懲役などを科されることはない。

これまでは原則として逆送の対象になったのは、16歳以上の少年が殺人や傷害致死といった「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」を犯した場合だった。今後、特定少年については、これに加え強盗や強制性交、現住建造物等放火罪なども対象になる。

さらに、4月1日以降に特定少年が起訴された場合、実名や顔写真も報道できるようになり、裁判で言い渡される刑罰も基本的に20歳以上と同じになる。これまで18、19歳に有期懲役の実刑を科す場合は最長15年の不定期刑だったが、今後は最大30年の範囲で上限を設定する有期懲役が言い渡される。

ただし、特定少年でも逆送されなければ、従来通り更生を目的とした保護観察や少年院送致といった「保護処分」の対象だ。

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