ロシアのウクライナ侵攻で米欧などの制裁対象となったオリガルヒ(新興寡占資本家)が、所有する豪華ヨットの差し押さえを免れようと躍起になっている。制裁に参加していないトルコや中東、南アジアの国々に船を移動させる動きが顕在化。一方で、ウクライナ人乗組員によって沈没寸前までいったオリガルヒ所有とみられるヨットもあるという。
「死の商人」に一矢
米CNNテレビによると、ウクライナ人機関長の手により沈没寸前となったのは、ロシア最大の武器輸出企業であるロソボロネクストポートのミヘーエフ最高経営責任者(CEO)が所有するとみられる全長約48メートルの豪華ヨット「レディー・アナスタシア」。大理石の風呂を備えた船主室に10の客室、ジャクジーのあるサンデッキなど、超豪華な造りで、通常は9人のクルーが乗り込んで地中海沿いの高級リゾート地を巡っている。
10年にわたって同船に乗り組むウクライナ人機関長のタラス・オプスタチュク氏(55)が自宅のある首都キエフへのロシア軍によるミサイル攻撃のニュースを目にしたのは2月26日のこと。妻と暮らす自宅によく似たアパートが破壊される映像を見て、「次は自分の家がやられる」と直感したという。