夜空に「希望の光」を放つ列車が台湾を走った-。台湾北部を通る鉄道の淡海ライトレールで今年1月、開業3周年記念イベントとして鉄道車両を使った光のショーが話題となった。演出の手法を伝授したのは「流れ星新幹線」と銘打って九州新幹線で同様のイベントを開いたJR九州だ。日台交流のストーリーを取材すると、台湾版「流れ星新幹線」の実現には、新型コロナウイルス禍で境遇を同じくする鉄道会社同士の絆があった。
コロナとの闘い
「開業3周年イベントで流れ星新幹線のようなショーが台湾でもできないか」
淡海ライトレール側からJR九州に打診があったのは昨年夏だった。
流れ星新幹線は昨年3月、JR九州が九州新幹線鹿児島ルートの開業10周年イベントとして特別運行。鹿児島中央(鹿児島市)-博多(福岡市)を走行する新幹線の窓から夜空に向かってカラフルな光を放つショーで、車内に設置した照明を使って演出。コロナ禍で暗い話題が多い中、夜空を照らす光は多くの人の心を打った。
動画投稿サイト「ユーチューブ」で特別運行を見た淡海ライトレールの担当者は「開業からの3年間の大半がコロナ禍との闘いだった。だからこそ、利用してくれたお客さまに感謝の気持ちを伝えたい」という思いをJR九州側に伝えた。2018年12月の運行開始後まもなく、世界的にコロナ感染が拡大。台湾では徹底的な水際対策が功を奏したとはいえ、淡海ライトレールの乗車数は伸びず、プロモーションイベントなども開けない状況が続いたという。
淡海ライトレールからの打診を受けたJR九州営業課の小川浩大氏は「当社もコロナで打撃を受け、同じ鉄道会社として苦労が痛いほど伝わった。日台はこれまで助け合ってきており、地域に希望の光を照らしたいという思いは、当社が持っていた思いと同じ。社内で検討し、ぜひ協力したいと伝えた」と語った。