名古屋城天守閣の木造復元事業をめぐり、名古屋市と文化庁との協議に関する資料の情報公開請求をした際、多くの文書が黒塗りで開示されたのは不当として、名古屋市民オンブズマンが市に文書公開を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は30日、河村たかし市長の発言部分など一部を公開するよう命じた。
日置朋弘裁判長は判決理由で、天守閣工事の公募に関する市長発言後に完成期限の延長が公表されたなどと指摘。「発言内容が公開されても、情報が確定したものだと市民が誤解し、企業が応募を検討するなど不当な混乱が生じる蓋然性はない」とし、非公開とする理由がないと結論付けた。
判決などによると、市民オンブズマンは平成30年に3回、情報公開を請求した。提訴後、市は黒塗り部分の多くを公開していた。
市は「判決理由を詳細に検討し、今後について市長の判断を仰ぐ」とのコメントを出した。