国連安全保障理事会は29日、ロシアの侵攻を受けるウクライナの人道状況をめぐる会合を開いた。演説したシャーマン米国務副長官は世界的な食料危機の恐れに警鐘を鳴らした上で「プーチン(露大統領)がこの戦争を始めた。この食料危機をつくり出したのは彼だ」と非難した。
シャーマン氏は、外国船がウクライナの港に寄ることを露軍が妨害し、穀物の輸出を事実上阻んでいると指摘。食料価格は既に高騰し、発展途上国などにも影響が広がっているとして「この人道的大惨事を終わらせる唯一の方法は、持続的な停戦と露軍の完全撤退だ」と強調した。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、露軍は人道回廊を設置しており「民間船舶の航行の自由は脅かしていない」と述べたほか、食料価格の高騰はロシアに対する欧米の制裁が原因だとも主張した。(共同)