ロシア、燃料施設を連続攻撃 補給絶つ狙いか 停戦交渉では毒物疑惑

ロシア軍のミサイル攻撃で炎上した石油タンクから立ち上る黒煙=26日、ウクライナ西部リビウ(共同)
ロシア軍のミサイル攻撃で炎上した石油タンクから立ち上る黒煙=26日、ウクライナ西部リビウ(共同)

ウクライナに侵攻したロシアは28日、各地で攻撃を続けた。西部リウネ州では露軍のミサイル攻撃により燃料貯蔵施設が破壊。西部の燃料貯蔵施設への攻撃は3日連続で、ロシアはウクライナ軍の補給を断つ狙いだとみられる。一方、欧米メディアは同日、停戦交渉に関連して3月初旬、露大富豪のアブラモビッチ氏やウクライナの代表団が薬物中毒に似た症状を発症していたと報じた。停戦交渉は29日にもトルコ・イスタンブールで行われる。

ウクライナメディアによると、リウネ州の燃料貯蔵施設が28日、露軍のミサイル攻撃を受け、救助隊が現場に向かったほか、27日にも西部ルツィクの同施設にミサイル攻撃があった。露国防省は26日、西部リビウ州の同施設をミサイル攻撃で破壊したと発表していた。西部はウクライナの燃料補給拠点となっている。

また、露軍に約1カ月間包囲され、激しい攻撃を受けている東部マリウポリのボイチェンコ市長は28日、同市での死者が5000人近くに達し、うち210人が子供だと発表した。市内はほぼ全ての建物が損傷しているが、なお市民16万人が取り残されているという。

一方、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)や英調査報道機関「べリングキャット」は28日、停戦交渉に関連し、アブラモビッチ氏とウクライナ代表団員の計3人が、3月3日の首都キエフでの会合後、目の痛みや皮膚の異常を訴えたと伝えた。アブラモビッチ氏はサッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーのオーナーとして知られ、ウクライナ側からの要請で停戦交渉を支援していたという。

ロシア側による毒殺未遂だとする観測も浮上しているが、べリングキャットは「致死量には不十分で、脅しが目的だった」とする専門家の見方を伝えた。

これについてウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏は「憶測や陰謀論」だとして過剰反応しないよう呼び掛けたほか、中毒症状が出たとされる同国代表団のウメロフ氏もフェイスブック上で「未確認情報を信じないで」と述べた。

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