29日に結果が公表された教科書検定で合格した選択科目の「地理探究」と「政治・経済」では、北方領土、竹島、尖閣諸島をすべての教科書が「固有の領土」とした一方、「日本史探究」「世界史探究」では表現の徹底が図られなかった。北朝鮮による拉致問題に関する記述も乏しい。先の大戦に関する自虐的記述が多く残る中、自国への主権・人権侵害や危機に対する意識の低さが際立つ。(大泉晋之助)
平成30年改定の新学習指導要領では「地理探究」「政治・経済」で北方領土、竹島、尖閣諸島に関し「固有の領土」と記述することを求めているため、全社がならった。一方、「日本史探究」「世界史探究」では指導要領がそこまでの記述を課していないため、「固有の領土」との表記は一部にとどまる。また、帝国書院の「地理探究」では、北海道と北方領土の色が別の色で塗り分けられた地図に検定意見が付され、修正された。
拉致については地理歴史・公民の教科書のほとんどで記述があるが、北朝鮮との外交関係で「解決すべき課題」などと触れるのみ。経緯などに関する詳しい解説はなく、人権侵害に対する問題意識は希薄だ。