ウクライナの民族楽器奏者 都内で演奏会 平和願う調べ 母は涙

演奏会を終えあいさつするウクライナ出身の伝統楽器奏者カテリーナさん(左)と母のマリヤ・グジーさん=29日午後、東京都武蔵野市
演奏会を終えあいさつするウクライナ出身の伝統楽器奏者カテリーナさん(左)と母のマリヤ・グジーさん=29日午後、東京都武蔵野市

ロシア軍の侵攻が続くウクライナ出身で、同国の民族楽器「バンドゥーラ」奏者として日本で活躍するカテリーナさん(36)が東京都武蔵野市役所で29日、コンサートを開いた。祖国の平和への願いを込めて演奏を披露し、ウクライナから今月避難したカテリーナさんの母、マリヤ・グジーさん(68)も見守った。(橘川玲奈)

カテリーナさんの故郷は、チェルノブイリ原発から約2・5キロの町、プリピャチ。1986年、生後30日で事故が起こり、一家は移住を迫られた。今度はロシアによる軍事侵攻で、首都キエフにあるマリヤさんの住まいも危険にさらされた。マリヤさんはポーランド経由で21日、日本に避難し、カテリーナさんの自宅で生活を始めた。

この日、会場の市役所ロビーに市民ら約500人が集まり、演奏を聴き入った。カテリーナさんはウクライナ語の曲4つや「翼をください」をウクライナの弦楽器、バンドゥーラで弾き語りし、曲の合間にはウクライナの惨状やマリヤさんの避難について聴衆に説明した。

披露したウクライナ語の曲はいずれも母親や母国をテーマにしたもの。平成18年に来日したカテリーナさんは「これまでの演奏会では、ウクライナにいる母を思いながら歌っていたが、今はなんとか無事に避難している。母の安心した顔を見られ、声も聞けて幸せ」と語った。

マリヤさんは時折涙を流しながら、優しい音色に耳を傾け、コンサート終了後、「観光ではなく避難での来日になってしまったのは苦しい。だが(演奏会で)つらい気持ちが和らいだ。日本の皆さんの応援に、感謝の気持ちを伝えたい」と語った。

演奏を聴いた杉並区の小池好江さん(90)は「私も戦争を経験したので、身につまされる思い。どの国も平和になることを願っている」と話した。

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