IR計画可決 関西経済界は期待 年1兆円超の効果

大阪府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の事業内容をまとめた区域整備計画案が29日、市議会で可決された。府市両議会の同意が得られたことで計画は大きく前進することとなり、関西の経済界からは期待の声が上がった。年間の経済効果は1兆円を超すとしているが、新型コロナウイルスの影響は含まれておらず、ウクライナ情勢の余波も懸念される。

「初期投資額は1兆800億円と聞いており、相当な規模の施設になる。国内外から関西に来ていただくための複合施設としてIRは重要だし、周辺観光と結びつく装置にもなる」。大阪商工会議所の鳥井信吾新会頭は29日の就任会見でこう語り、期待感を示した。

大阪のIRは、米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスに加え、関西企業など20社で構成する「大阪IR株式会社」が運営。計画では年間2千万人が来場し、売上高は年間約5200億円を見込み、このうち4千億円がカジノの売り上げとしている。

府市が2月に発表した近畿圏への経済波及効果は、建設時が1兆5800億円で、運営が始まってからは年間1兆1400億円。雇用創出効果は建設時が約11万6千人で、運営時は年間9万3千人などとする。

さらに効果を最大化するため、国際会議や展示会などを開くMICE施設を活用し、大阪・関西が強みを持つ10産業領域について、領域ごとに年間5件程度の国際規模の展示会を開催。観光振興につなげるため、IRから国内各地への利便性の高い交通アクセスを構築したり、国内観光の企画を提案したりする。

だが、計画にはコロナ禍の影響を含んでいない。ウクライナ情勢の収束も見通せず、世界的な原油高や原材料価格の高騰に歯止めがかからない状況となっている。

関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は記者団の取材に、IRに期待しつつも、「(予定地の夢洲(ゆめしま)は)土壌対策の問題もあるし、(開業予定の)7年後もコロナが流行しているのであれば、その時に考えなくては仕方がない。IRは公共施設ではないので、われわれは割り切っている」と語った。

帝国データバンク大阪支社の昌木裕司情報部長は「コロナ禍を経て経済環境は大きく変わった。カジノもオンラインでできる時代だし、大阪のIRも対面でなければ得られない価値が求められる。実現できなければ〝負の遺産〟として将来に残すリスクもある」と話す。(井上浩平)

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