大阪IR、予断許さず コロナで不透明感も

市議会終了後、囲み取材に応じる松井一郎大阪市長=29日午後、大阪市北区(須谷友郁撮影)
市議会終了後、囲み取材に応じる松井一郎大阪市長=29日午後、大阪市北区(須谷友郁撮影)

大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)(同市此花区)を建設予定地とするカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備計画は29日、大阪市議会で承認され、先に計画を可決した大阪府議会と合わせて地元同意の手続きが完了した。いよいよ国への認定申請という最終ステージに突入するが、新型コロナウイルス禍やインバウンド(訪日外国人客)の動向など読み切れない部分も多く視界良好とはいかない。

「今まで現実のものとして見えにくかったが、夢洲がエンタメの拠点になる姿が少しずつ見えてきた」

市議会の同意を受け、松井一郎市長(日本維新の会代表)はこの日、記者団の取材に感慨深げに語った。

大阪IRはそもそも、維新創設者の橋下徹氏が大阪府知事だった平成21年に提唱。26年には候補地について夢洲を軸にすることを決定した。同じ夢洲を会場とする2025年大阪・関西万博の誘致が決まってからは、相乗効果を狙って「万博との同時開業」をもくろんだ。

しかし工期の問題から早々に「同時開業」は困難となり、「令和9(2027)年3月末までの全面開業」に軌道修正。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、この日承認された整備計画では、開業時期は「11年の秋から冬ごろ」という表現にまで後退を余儀なくされている。

事業者である米カジノ大手、MGMリゾーツ・インターナショナルなどの企業連合と、府市が今年2月に締結した基本協定では、国内外の観光需要がコロナ以前の水準まで回復しないような場合は、事業者側が協定を解除できるとの条項も盛り込まれた。事業者側は「安易な撤退はない」と強調しているが、ワクチン接種が世界的に進んだ現在でも、インバウンドがどこまで回復するかは依然予断を許さない。

この間、予定地の夢洲では土壌汚染や液状化層の存在が判明。大阪市は土壌汚染対策費360億円と液状化対策費410億円などを合わせた計約790億円を負担することになった。

市の内部資料によると、市は夢洲について「液状化の可能性はほとんどない」としていたが、2年12月、事業者側の詳細な調査でそのリスクが浮上、市側に強く対応を求めた。

土地の問題は所有者である市に修繕の責任があるとして、原則重視で市側の全額負担が決まったものの、過去には事業者側に対策を求めた事例もあり「IR優遇だ」との批判も上がる。

国際会議や展示会などを開くIR内のMICE施設の規模も、当初は「10万平方メートル以上」を想定するも、府市はコロナ禍で需要が十分確認できないとする事業者の意向をくみ、昨年2月に計画を修正。事業者に求める施設面積は「2万平方メートル以上」まで縮小し、そこから段階的に整備することを容認した。

地盤沈下のリスクも顕在化している。対策費は基本的に事業者が持つ方向だが、事業者側は「今後の調査で課題が出てきた場合には対応を見極める必要がある」と含みを持たせる。

市関係者は「撤退をちらつかされたらますます負担が増える」と憂慮する。

■大阪IR整備計画、大阪市議会で承認

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