チェルノブイリで山火事 放射性物質の拡散懸念

ウクライナ最高会議の人権担当者デニソワ氏は27日、ロシア軍が侵攻直後に制圧した北部チェルノブイリ原発周辺の立ち入り禁止区域で戦闘による森林火災が起き、1万ヘクタール以上が焼失したと主張した。土壌中の放射性物質が空気中に放出され、風に乗って欧州諸国へ拡散する恐れがあると警告した。

デニソワ氏はロシア軍が立ち入り禁止区域を占拠し、消火作業ができない状態だと指摘。使用済み核燃料など放射性廃棄物の貯蔵施設にまで火災が及びかねないと警鐘を鳴らした。国際原子力機関(IAEA)に早急な専門家派遣と消火機材の提供を要請、国際人権団体にロシア軍に危険地域から撤退するよう圧力強化を求めた。

ウクライナメディアによると、チェルノブイリ原発職員が住むスラブチチ市のフォミチェフ市長は26日、ロシア軍の攻撃で市民3人が死亡し「市は占領された」と述べた。市長はロシア軍に一時拘束されていた。ロシア軍は2月24日のウクライナ侵攻直後に同原発を制圧、職員は幽閉状態で長期間勤務を強いられたが、一部は3月20~21日に初めて交代した。(共同)

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