露、ウクライナ停戦交渉へ 合意見通せず 一部で「妥協」も示唆

ロシアメディアとのインタビューに応じるウクライナのゼレンスキー大統領=27日、キエフ(大統領府提供・AP=共同)
ロシアメディアとのインタビューに応じるウクライナのゼレンスキー大統領=27日、キエフ(大統領府提供・AP=共同)

【カイロ=佐藤貴生】ロシアのウクライナ侵攻をめぐり両国の交渉担当者は27日、今週中に対面で停戦交渉が行われると述べた。ロイター通信によると、トルコのエルドアン大統領は同日、プーチン露大統領と電話で会談し、交渉をトルコの最大都市イスタンブールで行うことで合意した。ロシアとウクライナの隔たりは大きく、停戦で合意するかは見通せない。

ウクライナの担当者は交渉は28日から30日までだとしたが、露側は交渉日程は29、30日だとしている。

ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、親露派武装勢力が実効支配するウクライナ東部ルガンスク、ドネツク両州について、協議で「妥協」する余地があると述べた。「中立化」についても議論する用意があるとの立場を示した。

ただ、ゼレンスキー氏はあらゆる合意には第三国による保証が必要だと主張。政権交代などを意味するとみられる「非ナチス化」や、非軍事化に関する協議を拒否する姿勢も崩していない。

露軍は26日、ウクライナ西部リビウの燃料保管施設をミサイルで破壊。同国政府は露軍が燃料や食料の施設を破壊し始めたと述べた。また、ウクライナの軍事当局者はロシアが東部を支配下に収め、韓国と北朝鮮のような分断を狙っているとの見方を示した。

ゼレンスキー氏は26日、北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が保有する航空機や戦車の「1%」でも提供するよう求め、携帯式ミサイルなど小型兵器の供与にとどまっている現状にいらだちを示した。

ウクライナ政府は27日、激戦が続く東部マリウポリなど2カ所で民間人退避のための「人道回廊」を設置することでロシアと合意し、1100人が避難したと述べた。

ロシアとウクライナの代表団は2月28日以降、ベラルーシでの対面交渉に加えてオンラインで交渉を行ってきた。今月10日にはトルコ南部アンタルヤで両国の外相が侵攻後初めて会談したが停戦交渉は進展しなかった。

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