立民が改憲論議に苦慮 初のオンライン対話集会

政治 「りっけんと語ろう!憲法対話集会」立憲主義に基づく論憲とは?で講演する立憲民主党の枝野幸男前代表=28日午後、国会内(矢島康弘撮影)
政治 「りっけんと語ろう!憲法対話集会」立憲主義に基づく論憲とは?で講演する立憲民主党の枝野幸男前代表=28日午後、国会内(矢島康弘撮影)

立憲民主党憲法調査会(中川正春会長)は28日、党が掲げる「論憲」をテーマにした対話集会を初めてオンラインで開いた。憲法改正をめぐっては、多くの政党が精力的に議論に取り組むが、立民は対応に苦慮。改憲に慎重な主張を続ければ共産党と同一視されかねず、前向きな他党に歩調を合わせれば参院選を前に護憲派の支持を失いかねないからだ。

「時代の要請に応じて憲法を変えることを立民は否定していない。ただ、時の権力を縛るという憲法の本質に基づいた議論がなされなければならない」。枝野幸男前代表は28日の集会で講演し、こう訴えた。

最近の立民は憲法調査会の会合も積極的に開催し、議論には前向きな姿勢をアピールしている。立民中堅は集会に関し「泉健太代表が『論憲』と言っているから、『議論はしましょう』ということだ」と語る。

憲法をめぐる国会の構図は先の衆院選で一変した。議席を伸ばした日本維新の会や国民民主党が積極的な憲法審査会の開催を要求。「慣例に従って予算審議中は開くべきでない」との立民の主張は押し切られ、今国会は予算委員会と並行して憲法審が開かれるようになった。

改憲論議の加速を警戒する立民にとって、ロシアのウクライナ侵攻は逆風となった。「憲法9条で国が守れるのか」との懸念の声が相次ぎ、憲法審では他党が緊急事態に対応するための改憲の必要性を強調する。

主要政党で「改憲は一切不要」と訴えているのは共産くらいで、衆院憲法審野党筆頭幹事の奥野総一郎氏は24日、記者団に「今は緊急時だから国民の関心も高い。なかなか背は向けられない」と述べ、審議拒否は難しいとの考えを示した。

とはいえ、立民は護憲派の期待を集めるだけに党内には改憲政党とは一線を画すべきだとの声も根強い。枝野氏を集会の講師に招いた背景には「泉体制で離れた左派コア支持層を固めるのが狙い」(立民関係者)との見方もある。

枝野氏は集会で、緊急事態対応の改憲を訴える政党を牽制(けんせい)するかのようにこう指摘した。「緊急事態の時にはもっと自由にやらせろ、国会議員の任期も延長させろみたいなばかな話がある。具体的に何か困ることがあるのですか?」(内藤慎二)

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