主張

国連安保理 露に常任理事国資格ない 岸田首相は改革に取り組め

国連憲章と国際法を踏みにじってウクライナを侵略しているロシアが、国連安全保障理事会の常任理事国にふさわしくないのは誰の目にも明らかである。

第二次世界大戦の戦勝国とその流れをくむ米英仏露中の5大国が、安保理における常任理事国の席と拒否権という特権を持ち、その責任で世界の平和と安全を維持する大役を担う。そうした発想は幻想だったことが、改めてはっきりした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本の国会へのオンライン演説で「今回の戦争で、国際機関は機能しなかった。安保理も機能しなかった」と述べ、「新しい予防的な仕組み」づくりへの日本のリーダーシップを求めた。

「5大国の平和」幻想だ

侵略の被害者から発せられた切実な訴えである。日本は重く受け止め、困難な課題に向き合わねばならない。

安保理は、国際の平和と安全に主要な責任を負い、国連機関の中で唯一、加盟国を拘束する決定ができる権限を持っている。いわば「平和の番人」だが、常任理事国ロシアの暴挙には無力だ。

ロシア軍の侵攻開始直後、安保理は侵攻と主権侵害を非難し、ロシア軍の無条件撤退を求める決議案の採択を試みたが、拒否権を持つロシア1国の反対で「否決」された。

今月の会合では、ロシアが「米国がウクライナで生物兵器開発に関与している」という荒唐無稽な主張を行った。国連当局者は「いかなる計画も把握していない」と否定し、欧米の理事国も「ロシアは噓をつくな」と反発した。

23日には、ウクライナ情勢をめぐってロシアが作成した「人道決議案」が採決に付された。賛成はロシアと中国の2カ国にとどまり、棄権13で否決された。決議案はロシアによる侵略に一切触れていなかった。

そもそも、侵略を「特別軍事作戦」と強弁するロシアの主張は支離滅裂だ。安保理理事国から「時間の無駄だ」との声が出た。

北朝鮮の弾道ミサイル発射は全て安保理決議違反だ。だが、25日の安保理緊急会合では北朝鮮への制裁強化を訴えた米国に対し、ロシアと中国が反対した。

安保理の仕組みは1945年の国連創設以来、任期2年の非常任理事国が6カ国から10カ国に増えた以外、何も変わっていない。

安保理改革には国連憲章改正が必要で、改正に際しても5大国が実質的な拒否権を有するため、端(はな)から困難視する向きもある。

だが、あきらめてはなるまい。ロシアのウクライナ侵略と安保理の機能不全を見て、改革を求める国際世論は高まってきた。

英首相報道官が、ロシアを常任理事国から追放するのも選択肢と述べたのはその一例だ。

中国にも無力直視せよ

安保理改革はこれまで、常任・非常任理事国双方の数を拡大し、常任理事国の拒否権に一定の制限を設ける案が論じられてきた。

まずはロシアのみを排除することも一考に値する。ロシア排除には、旧ソ連の安保理議席を継承したことを問題視することも可能ではないか。日本やドイツなどを差別した旧敵国条項の廃止も必要である。

国連外交を重視する日本は安保理改革を唱え、ドイツ、インド、ブラジルとの「G4」の枠組みで連携して常任理事国入りを目指してきた。

岸田文雄首相は先の参院予算委員会で、ウクライナ情勢に関連し、「拒否権の行使は最大限自制されるべきだ」と述べ、「フランスなど改革に前向きな国々と協力し、安保理改革の努力を続けたい」と意欲を示した。

岸田首相には4年7カ月の外相経験もある。政権の優先課題として安保理改革を掲げ、全力でやり抜いてほしい。

日本の安全保障にとっては、中国が常任理事国の一角を占めていることが大きな懸念だ。中国は国際法を無視して南シナ海の人工島の軍事拠点化を進め、台湾を威嚇している。

これらが安保理の議題にならないのは、ロシア同様、中国が拒否権を持つ常任理事国だからだ。

仮に日本有事や台湾有事になっても、今のままの安保理では、ウクライナ侵略への対応と同様に、完全に無力だと日本は覚悟しなければならない。

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