第94回選抜高校野球大会第8日の27日、2年連続8回目出場の市和歌山は第2試合(2回戦)で明秀学園日立(茨城)と対戦。息詰まる投手戦となり、1―1のまま最終九回までもつれこんだ激闘の末、サヨナラ勝ちを決め、3年ぶりの8強入りを果たした。28日の準々決勝の第4試合で屈指の強豪・大阪桐蔭(大阪)に挑む。
主戦・米田は立ち上がりから好投をみせ、明秀学園日立の打線を抑え続けた。六回表に1点リードを許したが、その裏、米田の奮闘に打線が応えた。
「何とかして塁に出たいと思っていた」と1番松村が右前安打で出塁。見守っていた母の陽子さん(47)も「本当に良かった」と反撃を期待した。
2死一、三塁の好機で、4番寺田が左前適時打を放ち、1―1の同点に追いついた。今冬、「一球を捉える力」を磨いてきたという寺田は「その成果が今につながったと思う」と振り返った。
その活躍を見守っていた母のしおりさん(33)は「米田投手が頑張っているので、打撃で助けることができた」と感動を隠せない様子。
その後は、互いに追加点を奪えないまま、最終九回に突入。ここで好機が訪れた。
4番寺田の中前安打などで1死一、二塁と絶好の場面。「お前が決めろ」。半田監督から伝えられた7番米田は、その期待に応えるように適時二塁打を右中間に放ち、劇的なサヨナラ勝利を決めた。
打席を見つめていた米田の父、隆英さん(51)は「とにかく(打球が)抜けてくれ、という思いだった」とサヨナラ適時打を喜んだ。米田の兄、航輝さん(20)は3年前の選抜で市和歌山の主将を務め、8強入りを果たしている。隆英さんは「次の相手は大阪桐蔭だが、兄を超えてほしい」と活躍に期待していた。
米田も「耐えてきたことが、やっと報われた」と、次への手応えをつかんでいた。
半田真一監督「(相手に)的を絞らせない組み立てでバッテリーがよく投げてくれた。粘れている選手たちを褒めてやりたい」
松村祥吾主将「サヨナラ打の際、『米田は持っている』と思った。次の相手は強豪だが、自分たちの力を出せるようにしたい」