米国務長官「露の体制転換求めず」 イスラエル外相と会見

【カイロ=佐藤貴生】ブリンケン米国務長官は27日、イスラエルを訪れて同国のラピド外相と共同で記者会見した。バイデン米大統領が26日、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を非難したことを受け、ブリンケン氏は「米国はどこの国であれ体制転換の戦略は持っていない」と述べた。ブリンケン氏は28日まで滞在し、ベネット首相らと会談。同氏は露の侵攻後に停戦を仲介しており、侵攻をめぐる問題も討議される見通しだ。

ブリンケン氏は会見で、イスラエルが警戒するイランの核開発の封じ込めには、2015年の核合意の再建が「最良の道」だと述べた。ラピド氏は米国との間には「意見の不一致がある」としながらも、イランの核保有阻止に向けて米国と協力すると述べた。

バイデン米政権は核合意の再建を目指し、米国の制裁緩和と引き換えにイランの核開発を制限する間接協議を行っている。露の侵攻で原油価格は急騰しており、米政権はイランに科した制裁の一部である原油の禁輸を解除し、市場の安定を図る方針といわれる。

ブリンケン氏とラピド氏はイスラエル南部で27~28日、エジプトやアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコの外相と会議を開き、6カ国の協力態勢を話し合う。イスラエルは1979年にエジプトと平和条約を結んで国交を樹立。2020年にはトランプ前米政権の支援を受けてUAEやバーレーン、モロッコなどと国交正常化で合意した。会議開催を通じて中東のアラブ諸国との関係進展をアピールする。

ブリンケン氏は27日、ヨルダン川西岸でパレスチナ自治政府のアッバス議長とも会談。米政権はパレスチナ独立国家建設によるイスラエルとの「2国家共存」案を支持している。

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