中露結束「考えにくい」 米政権幹部 対中制裁必要ない

イエレン米財務長官(ロイター=共同)
イエレン米財務長官(ロイター=共同)

【ワシントン=塩原永久】バイデン米政権の国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋部長を務めるラップフーパー氏は25日、「ロシアと中国が全面的に公然と結束することは考えにくい」と述べた。米欧などの西側陣営に、中露が一体となって対抗するとの見方は「構図を単純化し過ぎている」と指摘。現時点で中国による対露支援は限定的なものにとどまるだろうとの見通しを示した。

ブリュッセルで会合した先進7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳らは、制裁回避をもくろむロシアを助ける行為を自制するよう、中国を強く牽制(けんせい)した。

ラップフーパー氏はオンライン討論会で、「中国が今後半年、1年で、(ウクライナ危機から)どのような教訓を引き出すかが、将来の地政学を左右する」と指摘し、中国の対応を注視しているとした。

中国が経済面で一定の対露支援を行う可能性はあるものの、欧州連合(EU)や米国などと「関係を維持しようと(接近したり離れたりする外交的)ダンスを繰り広げる」と分析した。

イエレン米財務長官も25日、米CNBCテレビで、中国がロシアに軍事物資を供与したり、制裁逃れに手を貸したりする事態は「現時点で起きていない」と述べ、中国に制裁を科す必要性は認められないとした。

米国がロシアに発動した経済・金融制裁は、制裁を順守しない中国などの第三国に懲罰を加える「二次的制裁」と呼ばれる仕組みを備えている。

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