ワクチン接種証明アプリ低調 東京都、特典拡充急ぐ

東京都「東京ワクションアプリ」画面(画像の一部を処理しています)
東京都「東京ワクションアプリ」画面(画像の一部を処理しています)

新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種が進む中、東京都が昨年11月に運用を開始した接種証明アプリ「TOKYOワクション」の登録者数が伸び悩んでいる。都は飲食店などでサービスを受けられる特典を用意し、利用者増を図るが、登録は41万人余りと3回目の接種を終えた都民の1割に満たない。接種証明書の提示で行動制限を緩和する国の制度停止も背景にあるとみられ、都は特典の充実など対応を急ぐ。

無料通信アプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントから、氏名や接種記録などを登録する「TOKYOワクション」。都内のホテルや飲食店などが提供する「抽選で宿泊券プレゼント」「1ドリンク無料」といった特典を受けられ、昨年11月1日の運用開始から1カ月ほどで登録者は30万人を超えた。

昨夏の流行「第5波」収束後の感染再拡大を防ぐため、ワクチン接種の促進を狙ったアプリだが、都が運用開始と前後して、大人数での飲食店利用に接種証明書などの提示を求めたことで、「ワクチンパスポート」の役割も担った。

政府も11月19日に、接種や新型コロナ陰性の証明書提示で、飲食店やイベントの規制を緩和できるとする「ワクチン・検査パッケージ」を導入。国も自治体も、感染拡大を防ぎながら経済活動を正常化させることにかじを切った。

だが、年末からのオミクロン株の流行では、ワクチンを接種していても陽性となる「ブレークスルー感染」が続出。政府は今年1月19日にワクチン・検査パッケージの運用を停止した。

都も同月21日に蔓延(まんえん)防止等重点措置が適用されてからは接種証明書の活用を中断。国の方針に従い、飲食店の大人数の利用は、PCR検査などでの陰性証明を求める「対象者全員検査」方式に切り替えた。都幹部は「ワクチン接種証明書の活用に疑問符が付き、考え方を変えざるを得なかった」と話す。

重点措置適用後はTOKYOワクションを利用する機運を醸成できず、登録者数は今月26日午後5時時点で41万200人。措置は21日までで解除されたが、ワクチン・検査パッケージは政府内で見直しの議論が続き、接種証明書の活用は見通しが立っていない。

都はTOKYOワクション登録者の増加に向け、広報活動の強化や特典の拡充を図る。3回目の接種完了者には、上野動物園の開園時刻前にパンダを観覧できる都独自の特典も企画し、小池百合子知事は「今後もさまざまな特典を追加する。ぜひ積極的に接種を検討してほしい」と呼び掛ける。

アプリを担当する都福祉保健局の宮沢一穂企画政策課長は「まだ(TOKYOワクション自体が)あまり知られていない。今後も特典を加えながら、しっかり広報していきたい」としている。

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