カニ・ウニ、価格高騰の恐れ避けられず ロシア産が5割前後 代替調達難しく

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本国内で水産物の価格高騰が懸念されている。日本にとってロシアは世界3位の水産物の輸入先で、カニやウニなどはロシア産のシェアが最も多い。輸入が滞れば品不足に陥る可能性が高いからだ。ロシア上空を通る航空便の規制により、既に北欧の一部の国からの水産物輸入に影響が出始めている。

「制裁内容によってロシアがどう動くか分からず、戦々恐々としている」。ロシア産の水産物について、東京・豊洲市場(江東区)の卸会社担当者はこう話す。現時点で入荷の状況に大きな変化はないが、ロシアからの輸入が滞れば価格が高騰する恐れがある。

担当者によると、ロシアによる侵攻後まもなく影響が出たのはノルウェー産のサケだ。ロシアと欧州連合(EU)が航空機の領空通過を互いに禁止した措置で、入荷が一時停止した。今月中旬に再開したが、1キロ当たり400円程度値上がりしているという。世界的な燃料高に加え、迂回(うかい)ルートを通ることで燃料使用量が増えたためだ。

農林水産省のまとめによると、令和3年のロシアからの水産物の輸入金額は1381億円で、中国、チリに次ぐ世界3位だった。カニやウニは品目別輸入金額で5割前後をロシア産が占める。

政府は追加経済制裁として、世界貿易機関(WTO)の規定に基づくロシアへの貿易上の優遇措置「最恵国待遇」の撤回を表明しており、今後、関税率の上昇なども見込まれる。

ロシア産を含む冷凍のカニやサケを扱う大手水産加工会社は「一定の在庫があるが、状況によって対応を検討する必要もある」と気をもむ。めんたいこの原材料であるスケトウダラの卵もロシア産と米国産が多く、めんたいこ製造販売大手「ふくや」(福岡市)の担当者は「初めてのことだ」と先行きを心配する。

警戒感は外食産業にも広がる。回転ずしチェーン「くら寿司」では、ロシア産のイクラやツブ貝を使用しており、担当者は「仕入れ先の変更など対応を議論している」という。同「はま寿司」などを展開する外食大手ゼンショーホールディングスも「これから影響が出る」とみて状況を注視する。

ロシア離れが進めば米国産やカナダ産への切り替えが想定されるが、他国との取り合いになれば仕入れ値の上昇は避けられない。国内の水産業は高齢化などで弱体化しており、「代替するにも限界がある」と資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は指摘する。

カニやイクラは特に正月に向けて需要が増える。卸会社の担当者は「年末までにどうなることか」と長期的な影響を危惧している。

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