【ソウル=桜井紀雄】昨年12月に恩赦された後も韓国・ソウル市内の病院に入院していた朴槿恵(パク・クネ)前大統領(70)が24日、退院し、故郷の南東部、大邱(テグ)の自宅に入った。朴氏が自由の身となり、国民の前に姿を見せるのは2017年3月に収賄容疑などで逮捕されて以来、5年ぶり。
朴氏は24日朝、歩いて病院の外に現れると、笑顔を見せ、「国民の皆さまがお気遣いくださり、健康がかなり回復しました」と報道陣に語った。父、朴正熙(チョンヒ)元大統領が眠る国立墓地を参拝後、大邱に新たに準備した自宅に到着。周辺には支持者ら約5千人が詰め掛け、朴氏を歓迎する垂れ幕も見られた。
朴氏は集まった人々に謝意を示し、「韓国の発展に寄与できるよう微力ながら貢献したい」と述べた。男が焼酎瓶を投げつけ、警察に取り押さえられる一幕もあった。
朴氏の事件捜査を指揮した前検事総長の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領は、記者団に「健康が回復し、自宅に戻れて幸いだ」と述べ、近く朴氏の自宅を訪ねる考えを明らかにした。5月10日の大統領就任式に招待する意向も示した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は朴氏に退院を祝うランの花を贈った。
朴氏は16年に親友による国政介入事件が発覚、同年12月に国会で弾劾訴追され、退陣を迫られた。逮捕後、21年1月に懲役計22年が確定し、収監された。文氏が恩赦を決めた後も持病の治療で入院していた。