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(221)肥満は慢性疾患の温床

体重が減らないというのは、多くの人の悩みのようです。減らすための大原則(少なく食べ、たくさん動く)は知っているのですが、それがつらく険しいこともわかっているので、楽に減量できないものかと考えてしまいます。

糖尿病と高血圧で通院している60代後半の女性患者さんが、「また太ってしまった」と苦笑いしながら受診しました。やはり、つらい思いはしたくないようで、痩せる薬が欲しいとか、手術でおなかの脂肪を取ってしまいたいなどと笑いながら話していました。

残念ながら手術などでおなかの脂肪を取ったところでダイエットにはならず、またすぐに元の体重に戻ります。脂肪細胞にはいくつかの種類があり、最も多いのは白色脂肪細胞です。おなかのぜい肉に代表される皮下脂肪も、悪者として知られる内臓脂肪もこの細胞からできています。その役割はエネルギーを蓄えることのほか、断熱効果や衝撃や感染から体を守る働きもあります。脂肪細胞からさまざまなホルモンが分泌されていることもわかってきました。

これらには食欲や代謝に関わるもの、炎症に関わるものなど、さまざまな種類があります。また、脂肪細胞の存在する部位や状態により役割がそれぞれ異なっていると考えられます。では脂肪は少ないほどよいのかというとそうでもなく、例えば体脂肪量が極端に少ないと妊娠・出産は困難になりますし、糖尿病になりやすくなる場合もあります。

それでも肥満したままの状態でいると、体には大きな負担になるようです。肥満と慢性疾患の関係を調べた研究結果が最近医学誌に報告されました。これはフィンランドと英国の住民を正常体重、過体重、肥満に分け、12年にわたる経過観察で、糖尿病や高血圧、心臓病、皮膚病といった病気の併発の頻度を調べたものです。これによると、正常体重の人に比べ肥満の人は2つの病気を持つ頻度が5倍、4つ以上の病気を持つ頻度が12倍となっていました。また、肥満の人が55歳の時点で4つ以上の病気を抱える割合は、正常体重の人の75歳のものに相当していました。

多くの人は食事や運動で自分の体重や健康を管理しなければなりません。そのためには食べるものをよく考えて選ぶことや、こまめに体重を量ることがとても大切ですが、続けるのは意外と難しいことなのだと思います。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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