ローカル5G導入促進へ利用料5分の1 NTT東やNEC、5月から新サービス

高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムを特定エリアで活用する「ローカル5G」の利用を促そうと、安価なサービスや機器の提供が広がり始めた。ローカル5Gによる実証実験は全国各地で行われているが、基地局の導入コストの高さがネックになり、実際の利用は当初の見通しに比べ進んでいない。価格の引き下げによって利用が促進されれば、作業の自動化や遠隔監視など労働力不足の解消につながることも期待される。

空港管理業務を効率化

南紀白浜温泉や熊野古道への観光客の利用が多い南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で、今月14日からローカル5Gを利用した新たな実証実験が始まった。少子高齢化による生産年齢人口の減少で、熟練職員の継続的な確保が難しくなっており、その解決にローカル5Gを活用しようという試みだ。

実験にはシステムを提供するNECと、空港の運営会社である南紀白浜エアポート(同)のほか、THK、オリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区)、日本マイクロソフト(MS)、凸版印刷の6社が参加。現実と仮想空間を融合した複合現実(MR)を使った空港管理業務や、電子看板を搭載したロボット案内サービスに取り組んでいる。

南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で実施されているローカル5Gの実証実験。MR搭載の眼鏡型端末を使い、空港内の樹木の長さを分析している(NEC提供)
南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で実施されているローカル5Gの実証実験。MR搭載の眼鏡型端末を使い、空港内の樹木の長さを分析している(NEC提供)

空港管理業務では、異常を検知するNECの技術をローカル5Gの大容量通信と組み合わせ、空港内の樹木が制限の高さを超えていないかどうかをMR搭載の眼鏡型端末に表示する。路面の劣化も現実空間と過去の点検記録を重ね合わせて表示する。蓄積してきたデータを生かすことで、目視よりも作業時間を短縮できる。実験は来年3月まで行い、実用化を目指す。

南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で実施されているローカル5Gの実証実験。MR搭載の眼鏡型端末を使えば、すぐに空港内の樹木の長さが制限内かどうか確認できる(NEC提供)
南紀白浜空港(和歌山県白浜町)で実施されているローカル5Gの実証実験。MR搭載の眼鏡型端末を使えば、すぐに空港内の樹木の長さが制限内かどうか確認できる(NEC提供)

1億円→2000万円へ削減

現在、国内では南紀白浜空港のような課題解決型の実証実験が各地で行われている。だが、基地局のコスト低減が課題になっており、実際の利用に至るケースはまだ少ないのが実情だ。そうした中で、コストを抑えたサービスを提供したり、基地局の価格を引き下げたりする動きも出てきた。

NTT東日本は利用料を従来の5分の1に抑えたサービス「ギガらく5G」を5月から提供する。これまでローカル5Gを利用するには5年間で約1億円の費用が必要だったが、通信設備を同社のデータセンターに集約し共有することでコストを抑えた。

アンテナなどの機器の利用やシステム運用、修理などを含めて月額約30万円から使える。工事費用などと合わせると、5年間の利用料は約2000万円となる。ビジネス開発本部の増山大史担当部長は「高品質で廉価なサービスを提供し、産業や地域の課題を解決したい」と話す。

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