ウクライナ大統領演説

安保理機能不全指摘 国連改革求める

ウクライナのゼレンスキー大統領のオンラインでの国会演説を聞く議員ら=23日午後、国会内(矢島康弘撮影)
ウクライナのゼレンスキー大統領のオンラインでの国会演説を聞く議員ら=23日午後、国会内(矢島康弘撮影)

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、国会内でオンライン演説し、ロシアの最恵国待遇の剝奪など制裁を強化してきた日本政府に謝意を示したうえで「アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのが日本だ。制裁の発動の継続をお願いする」と述べ、対露制裁の継続を求めた。「これからも戦争したい侵略者に対し、責任のある国家と一緒に平和を守るために努力しなければならない」とさらなる支援も要請した。

外国元首がオンラインで国会演説するのは憲政史上初めて。ゼレンスキー氏は約12分間の演説の冒頭、2月24日に露軍が侵攻を始める前に日本がウクライナに1億ドル規模の円借款を準備したことに「すぐ援助の手を差し伸べてくれた。心から感謝する」と語った。

そのうえで、対露制裁について「侵略の津波を止めるためには、ロシアとの貿易などを禁止しなければならない」と訴えた。

また、ゼレンスキー氏はウクライナ南部にある欧州最大級のザポロジエ原発に対する露軍の砲撃を踏まえ、ウクライナ国内の原発が「全て非常に危険な状況にある」と危機感を示した。「サリンなどの化学兵器を使った攻撃をロシアが準備していると報告を受けた」とも述べた。

国連改革の必要性も強調した。国連安全保障理事会がロシアの拒否権によって機能不全に陥っている現状を念頭に「国連改革が必要だ。日本のリーダーシップが大きな役割を果たせる」と期待を寄せた。

また、戦後復興にも言及し、「避難した人たちが故郷に戻れるようにしなければならない。日本の皆さんもきっと、そういう気持ちを理解してくれると思う」と語り、支援を求めた。

演説は衆院第1議員会館の2つの会議室を使って行われ、岸田文雄首相や衆参両院議長ら国会議員515人が視聴。演説後は出席者が起立して拍手を送った。

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